市況動向

銅事情 11月号

2017年11月10日 資材委員会提供

<10月の国内事情>

 日銀は経済・物価情勢の展望レポートで、2017年度実質GDPの成長率見通しを前年度比1.9%増と7月見通しから0.1%上方修正したが、物価見通しは前年度比0.8%増と7月見通しから0.3%下方修正した。景気判断は7月レポート同様に「緩やかに拡大している」とし、先行きについてもオリンピック関連投資の本格化、人手不足に対応した省力化投資の増加などにより、2018年度までは潜在成長率を上回る成長を維持すると予測している。
 そうした中、神戸製鋼所でのアルミ・銅製品のデータ改ざん、日産自動車、スバルでの無資格検査によるリコールなど国内製造業大手の不祥事が相次いで発覚し、「メイド・イン・ジャパン」品質への信頼が大きく揺らいでいる。供給先、関連企業への影響も大きく、今後の展開次第では経済情勢に大きな影響が及ぶものと思われる。
 一方、国内政治は安倍首相が衆議院を解散し総選挙となったが、選挙目当てに合流した野党が自滅した形で自民党の圧勝となり、翌日の株式市場は海外投資家の買いが継続、日経平均株価は15連騰で21,697円となり、1996年7月以来の高値となった。為替相場は米長期金利の上昇と税制改革実現への期待感からドルが買われ、円相場は一時115円台まで円安が進んだ。

<銅事情>

 10月のLME注1銅相場は、第1週は中国国慶節の大型連休により停滞していたが、第2週には堅調な米中の経済指標を受けて需要増への期待が高まり、6,800ドル台まで上昇した。第3週には5営業日連続で上伸し、2014年9月以来、約3年1ヶ月振りに7,000ドル台に乗せた。その後はドル高が頭を押さえる展開となり、利益確定売りで銅相場は軟調だったが、中国経済指標の改善から再び7,000ドルを回復した。第4週から月末にかけてはドルが積極的に買われたことでLME銅相場は6,800ドル台まで下落した。  LME銅在庫量は10月初めに30万トンを超える水準となったが、8営業日連続で在庫量が減少して28.3万トンとなり、その後一旦上昇した在庫量も月末には27.4万トンとなった。  10月の国内銅建値は、プラス1万円の77万円/トンでスタートし、6日にプラス2万円の79万円/トン、12日にプラス1万円の80万円/トン、17日にはプラス4万円の84万円/トン、20日にはマイナス1万円の83万円/トン、25日にはプラス1万円の84万円/トンとなり、1ヶ月で7万円上昇した。84万円/トンは2014年11月以来となり、10月の平均建値は81.2万円/トンとなった。  直近6か月の平均建値は、(2017年 5月:67.1万/トン 6月:67.3万/トン 7月:71.3万/トン 8月:75.0万/トン 9月:77.3万/トン 10月:81.2万/トン)となり、11月の国内銅建値はマイナス2万円の82万円/トンでスタートした。

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

過去の銅事情