銅事情 4月号
2023年04月11日 資材委員会提供
<3月の国内事情>
日銀が四半期毎に発表している全国企業短期経済観測調査(短観)の3月調査で、大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス1となり5四半期連続で悪化し、2020年12月以来の低水準となった。製造コスト高や海外経済の減速が景況感を押し下げ、原材料,エネルギー価格の上昇、海外経済の減速、半導体需要減退などの要因で幅広い業種で悪化した。先行きについてはプラス3と原材料コスト高が一服、販売価格の引き上げなどが寄与し、小幅な改善を見込む。一方で大企業・非製造業の業況判断指数(DI)はプラス20と4四半期連続の改善で2019年12月以来の高水準。原材料,エネルギーコスト高などが重しとなりつつも新型コロナウイルス感染症の影響緩和,観光支援策が改善につながった。先行きはプラス15と引き続き原材料コスト高の圧迫で悪化を見込む。23年度の大企業設備投資計画は、製造業が前年度比でプラス5.8%、非製造業がプラス1.6%となった。日銀担当者は「22年度は大き目な下方修正となったが、その分が翌年度のところに先送りされている」と説明した。全規模・全産業の23年度計画はプラス3.9%で翌年度の計画を聞く3月調査としては過去最高の伸び率。大企業・製造業の仕入価格判断DIはプラス60で前回から6ポイント低下、販売価格判断DIはプラス37と4ポイント低下で、原材料高が一服。大企業・非製造業では仕入価格判断DIはプラス53から48に低下したが、販売価格DIはプラス28から29に上昇し、過去最高を更新。製造業に比べ人件費コストの比率が高いことが影響したとみられる。全規模・全産業の販売価格・物価見通しは1,3,5年後ともに上方修正され、過去最高の伸び。1年後の販売価格は現状の水準対比プラス3.3%、物価は前年比プラス2.8%の見通し。
<銅事情>
3月の銅価格は、前半の下落基調から後半上昇に転じたものの、9,000ドルを割り込んで終わった。中国の2月製造業購買担当者景況指数(PMI)が強い内容だったことを受け上昇し、初日こそ9,000ドル超となったものの、米国による中国への追加制裁懸念やドル高により、2日には9,000ドル割れとなった。中旬には、米シリコンバレーバンクの破綻によるリスク回避から、8,500ドル台まで下落したが、緊急支援が行われた事や取引所在庫の減少等により後半に値を戻した。3月末のLME銅価格は8,935ドル、3月平均のLME銅価格は8,836ドルとなった。 3月のLME銅在庫量は、前月末対比1.0%の増加。初日は、前月末から1千トン増加し、6万4千トン台だったが、中旬までは増加傾向で、17日までに7万7千トン付近まで増加した。しかし、以降は減少に転じ、27日に7万トンを割り込むと、3月末のLME銅在庫量は、ほぼ前月末並みの63,850トンとなった。
3月の国内銅建値は、2月末からマイナス1万円の128万円/トンでスタートし、6日にマイナス2万円の126万円/トン、13日にマイナス3万円の123万円/トン、16日マイナス4万円の119万円/トン、22日にプラス3万円の122万円/トン、28日にプラス1万円の123万円/トン、となり、3月平均の銅建値は、123.9万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2022年10月:117.9万円/t 11月:120.2万円/t 12月:118.5万円/t 2023年1月:122.9万円/t 2月:124.6万円/t 3月:123.9万円/t。
2023年4月の国内銅建値は、3月末から2万円上げの125万円/トンでスタート。