市況動向

銅事情 12月号

2020年12月08日 資材委員会提供

<11月の国内事情>

 内閣府が発表した2020年7-9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた 実質で前期比5.0%増とし、年率換算で21.4%増となった。これは、新型コロナウイルスの影響で戦後最大に落ち込んだ4-6月期(28.8%減)の反動で、高い伸びを記録したものであり、7-9月期の実質GDP成長率は比較可能な1980年以降で最大となり、4四半期ぶりにプラス成長に転じた。
 実質GDPが前期比5.0%増えた要因をみると、個人消費など内需が2.1%増、外需が2.9%増であり、日本を含む各国が、経済活動の制限を緩和したことで、内需、外需ともに増となった。
 GDPの過半を占める個人消費は、前期比4.7%増となり大幅減の4-6月期の反動がでたもので、春先に制限された外食や娯楽などのサービス消費が持ち直し、家電や自動車など耐久財の販売が好調だった為であった。また、景気回復で先行する中国や米国向けに自動車関連の輸出も増えたことから輸出も7.0%増となった。
 但し、業績不安や先行き不透明感から企業の投資意欲は戻っておらず、主に生産用機械への投資設備投資減により、設備投資は、3.4%減となっている。一方、足元では、国内外ともに、新型コロナウイルス感染者数が増加しており、国内でも新型コロナウイルス第3波への警戒感は強く、その先行き不透明感から10月以降の速報値については、とても楽観視できるような状況でもない。

<銅事情>

 11月の銅相場は、前月末並みの6,700ドル台でスタートした。良好な米雇用統計、米大統領候補バイデン氏の当確報道、新型コロナウイルスワクチンに関する好結果等で、株や原油が急伸すると、9日には7,000ドル台となった。その後は、欧米での新型コロナウイルス感染拡大やドル高等で7,000ドルを割り込んだが、中国の鉱工業生産予想の上振れや、中国人民銀行の資金供給等により、16日には再び7,000ドル台を回復。以降は、ファイザー社のワクチン緊急使用許可申請、NYダウの史上初となる3万ドルの大台突破、米政権移行作業の本格化、中国経済指標の好調などリスク選好で上昇し、11月末のLME銅相場は7,674ドル、11月平均のLME銅相場は7,063ドルとなった。
 11月のLME銅在庫量は、月初2日の16.9万トンから、翌3日には0.7万トン増加し、17.6万トンとなったが、以降は一貫して減少し、11月末のLME銅在庫量は、14万9,900トンとなった。
 11月の国内銅建値は、10月末と変わらずの75万円/トンでスタートし、9日にプラス1万円の76万円/トン、12日にプラス1万円の77万円/トン、17日にプラス1万円の78万円/トン、24日にプラス1万円の79万円/トン、27日にプラス2万円の81万円/トンとなり、11月平均の銅建値は77.6万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2020年 6月:65.9万円/t 7月:72.1万円/t 8月:72.9万円/t 9月:75.0万円/t 10月:75.2万円/t 11月:77.6万円/t。
 2020年12月の国内銅建値は、11月末から2万円上げの83万円/トンでスタート。


過去の銅事情