銅事情 6月号
2025年06月05日 資材委員会提供
<5月の国内事情>
内閣府が5月16日に発表した2025年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.2%減で、これを年率換算すると0.7%の減だった。マイナス成長は2024年1~3月期の0.4%減以来で4四半期ぶり。物価高によって個人消費に力強さが欠けた。同時に発表した2024年度の実質GDPは前年度比0.8%増で4年連続でのプラス。物価変動の影響を反映した名目は3.7%増で、実額では616兆9095億円。年度として初めて600兆円を超えた。2015年に安倍政権が掲げた600兆円の目標は、暦年では達成していたが、今回年度でも上回った。1992年度に500兆円を超えた後、足掛け32年での大台到達ということになる。GDPの過半を占める個人消費は前期比0.04%増でほぼ横ばい。物価高による節約志向の高まりで肉や魚などの食料品がマイナスとなった。夏ころに備蓄需要が高まり、好調だったパックご飯もマイナスだった。一方、天候に恵まれ、外食などサービス消費は伸び、ゲーム・玩具なども伸びた。
もう一方の内需の柱である設備投資は前期比1.4%増で、ソフトウェア関連への設備投資が増加した。住宅投資は1.2%増で2四半期ぶりのプラス。改正建築物省エネ法・建築基準法施工前の駆け込み需要があった。公共投資は0.4%減で3四半期連続のマイナスだった。
これらの結果、実質GDPへの内需の寄与度は0.7%のプラスで2四半期ぶりにプラスとなった。
一方外需は輸出が0.6%減で4四半期ぶりにマイナスとなった。インバウンド消費や、トランプ関税発動を控えた自動車の駆け込み輸出もあったが、海外から受け取る知的財産権の使用量などが落ち込んだ。一方、GDPの押し下げ要因となる輸入は2.9%の増。海外IT大手へのネット広告の使用量が増加した。
結果、外需寄与度は0.8%のマイナスで、2四半期ぶりのマイナス。
国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比で3.3%上昇し、10~12月期の2.9から上昇幅を拡大した。
1~3月期の収入の動きを示す雇用者報酬は、実質で前年同期比プラス1.0%で、10~12月期のプラス3.2%から縮小している。
赤沢経済財政・再生相は16日、日本経済の先行きについて「米国の通商政策による景気の下振れリスクに十分留意する必要がある」と指摘し、「物価上昇の継続が消費者マインドの下振れなどを通じて個人消費に及ぼす影響も我が国景気を下押しするリスクとなっている」と言及した。
<銅事情>
5月の銅価格は、序盤に300ドルほど上昇した後レンジ推移となり、前月末対比400ドル程度上昇した。初日は前月末同様9,200ドルとなったが、米国の通商交渉が進展している兆候を受け、世界の経済成長と金属需要へのリスクが和らぐとの期待から、翌2日間で9,500ドルに上昇した。その後は、米中両政府が、貿易戦争の緊張緩和を目的として、90日間の関税一時停止を12日に合意した事などで上昇する場面もあったが、レンジでの推移となり、5月末のLME銅価格は9,623ドル、5月平均のLME銅価格は9,530ドルとなった。5月のLME銅在庫量は、前日対比増加は1日だけで、右肩下がりに推移した。1日197,300トンだった在庫は、第2週まで19万トン台をキープしたが、その後は毎週1万トン以上減少し、5月末のLME銅在庫量は148,450トンで、前月末対比マイナス24.9%と大きく減少した。
5月の国内銅建値は、4月末からプラス4万円の142万円/トンでスタートし、12日にプラス1万円の143万円/トン、14日にプラス4万円の147万円/トン、19日にマイナス4万円の143万円/トン、22日にマイナス1万円の142万円/トン、28日にプラス2万円の144万円/トンとなり、5月平均の銅建値は、143.4万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2024年 12月:141.9万円/t 2025年 1月:145.9万円/t 2月:145.6万円/t 3月:149.6万円/t 4月:137.6万円/t 5月:143.4万円/t
2025年6月の国内銅建値は、5月末からマイナス2万円の、142万円/トンでスタート。