市況動向

銅事情 2月号

2024年02月07日 資材委員会提供

<1月の国内事情>

 日銀は1月24日に公表した金融政策決定会合でまとめる「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の中で、2023年度から2025年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く=コアCPI)の前年度対比の上昇率見通しをそれぞれ公表した。前回10月の公表では2023年度から2025年度をそれぞれ上方修正し、特に2024年度は1.9%から2.8%へ大幅に引き上げたわけだが、今回のリポートでは2024年度の見通しを、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰するもとで、政府の経済対策の反動がみられることなどから2.0%を上回る水準で推移するとみて、前回の2.8%から2.4%へ下方修正。一方で2025年度については、これらの影響の剥落から前年比のプラス幅は縮小すると予想し1.7%から1.8%とした。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップがプラスに転じ、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率が高まるもとで、見通し期間終盤にかけて「物価安定の目標」にむけて徐々に高まっていき、先行きの不確実性はなお高いものの、見通しが実現する確度は引き続き少しずつ高まっている。尚、2023年度は前回の2.8%から2.8%だった。
 今回も物価固有のリスク要因として2つをあげた。第1のリスクとしては、企業の賃金・価格設定行動をあげ、上下双方向で不確実性が高いとした。原材料コスト高を背景とした企業の価格転嫁の影響は和らぎつつあるが、今後の原材料コストの上昇圧力や企業の予想物価上昇率の動向次第では価格転嫁が想定以上に続くことで、物価が上振れる可能性が有る。また、労働需給が引き締まるもとで、人材確保を意識した企業の賃金設定行動が前傾化することで、物価に賃金動向が反映され、マクロ的な需給ギャップの変動以上に賃金と物価が上振れる可能性がある。一方で物価上昇率がプラス幅を縮小していくなか、中長期的な予想物価上昇率が低下し、企業の価格設定行動に影響が及ぶ可能性がある。また、昨年の春季労使交渉では前年を大きく上回る賃金上昇率となったものの、賃金・物価が上がりにくいことを前提にした慣行や考え方が根強く残り続ける場合、先行きは賃上げの動きが想定ほど強まらず、物価も下振れる可能性がある。第2のリスクとしては、為替相場の変動や国際商品市況の動向、およびその輸入物価や国内価格への波及をあげた。こちらも上振れ・下振れ双方の要因となる。世界経済の先行き等を巡る不確実性が高く、国際商品市況を大きく変動させる可能性がある。世界的なインフレ率の高止まりや為替相場の変動といった点も含め、それらのわが国物価に及ぼす影響について、十分に注視していく必要がある。
 金融政策運営については、内外の経済や金融市場の不確実性がきわめて高い中、経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形での2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指し、「物価安定の目標」を安定的に持続するために、必要な時点まで「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続、マネタリーベースについては、消費者物価指数(生鮮食品を除く=コアCPI)の前年比上昇率の実績値が、安定的に2%を超えるまで拡大方針を持続し、企業等の資金繰りと金融市場の安定維持に努めるとともに、必要となれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じるとした。

<銅事情>

 1月の銅価格は、18日までは下降トレンドだったが、その後は上昇トレンドに転じ、前月末対比37ドルの上昇となった。初日、前月末同様8,400ドル台となった後、米国景気が底堅さを示し、早期利下げ観測が後退したことや、中国の経済指標が弱く、12月の銅輸入量が前月比16%超減少した事などで弱含み、18日までに8,100ドル台まで下落した。しかしその後は、中国の銀行が流動性確保のために外貨準備高を削減したことや、米国企業の景況感の高まりと株高などにより上昇に転じ、終わってみれば前月を若干上回る結果となった。1月末のLME銅価格は8,513ドル、1月平均のLME銅価格は8,344ドルとなった。
 1月のLME銅在庫量は、前月末対比で12.2%の減少であった。初日は前月同様の16万トン台だったが、以降前日比で増加した日は3日間しか無く、極端な増減は無かったものの、右肩下がりのトレンドとなった。1月末のLME銅在庫量は、145,425トンとなった。
 1月の国内銅建値は、12月末からマイナスの125万円/トンでスタートし、10日にマイナス1万円の124万円/トン、16日にプラス2万円の126万円/トン、19日にプラス1万円の127万円/トン、24日にプラス1万円の128万円/トン、29日にプラス2万円の130万円/トンとなり、1月平均の銅建値は、126.5万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2023年 8月:126.6万円/t 9月:127.8万円/t 10月:124.2万円/t 11月:128.3万円/t 12月:126.7万円/t 2024年 1月:126.5万円/t。
 2024年2月の国内銅建値は、1月末同様の130万円/トンでスタート。



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