市況動向

銅事情 9月号

2015年9月10日 資材委員会提供

<8月の国内事情>

 内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、8月の現状判断DIは家計動向関連DIが小売関連などで低下したこと、企業動向関連DIでは製造業及び非製造業が低下したことから前月比2.3ポイント低下の49.3ポイントとなった。また、先行き判断DIは家計・企業及び雇用関連DIでそれぞれ低下したことから前月比3.7ポイント低下の48.2ポイントとなった。以上のことから、「景気は中国経済に係る動向の影響等がみられるが、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、シルバーウィーク、プレミアム付商品券への期待等がみられる一方、中国経済の情勢や物価上昇への懸念等がみられる」とまとめられた。
 また日本電線工業会発表「2015年度7月銅電線出荷量速報値」によると、今年度に入り全体出荷量で前年同月比マイナスを続けていた状況が6月度で初めての同比プラスとするも、再び7月度では▲2.8%と減少に転じた。主力出荷部門である、建設電販部門、電機部門、自動車部門での落ち込みが影響しているが今後首都圏大型プロジェクトを中心に需要の回復が期待される。
 為替相場は、前月のFRBイエレン議長による年内の利上げ示唆から125円台のドル高進行を継続するも終盤には中国の人民元切り下げ影響による、世界同時株安や新興国通貨安状況から米国での早期の利上げ実施は困難との見方となり120円から122円のドル安傾向推移となった。

 

<銅事情>

 8月のLME注1銅相場は、前月での中国株価の下落とそれに伴って約半数の銘柄が取引停止になったことから投機商品の利益確定売りが先行し銅相場の下げ加速に繋がる等の軟調基調での推移を示していたが、これと合わせて同国の7月度輸出が対前年同月比で▲8.3%と落ち込んだことから、8月11日に中国政府は、景気刺激策として人民元の切り下げを断行した。市場ではこれが更なる中国経済懸念に拍車をかけることとなり、2009年7月以来6年ぶりの5,000ドルを割り込む下落を生んだ。一方で原油価格も今年3月の安値となった42ドル/バレルを下回り、これが更に銅相場を重くした。月の終盤には中国の人民元切り下げの終了と追加金融緩和策により株価は続伸、5,000ドル台へ回復させた。
 またLME銅在庫は、前月の34万トン台まで積み上がった状況から更なる積み上げを見せ、月末には37万トン台とした。
 2015年8月の国内銅相場は、前月末の70万円/トンから3日にマイナス1万円の69万円/トンでのスタート、その後11日にはプラス2万円の71万円/トンへ、一転14日にはマイナス2万円の69万円/トンへ、更に20日にはマイナス2万円の67万円/トンへ24日にはマイナス1万円の66万円/トンとし27日には2万円の64万円/トンと更に下落した。9月からは、1日よりプラス3万円の67万円/トン、4日には68万円/トン、9日には69万円/トンとして現在に至る。
 2015年8月平均建値は67.9万円/トンとし前月と比べ4.6万円/トンのマイナスとなった。直近6か月の平均建値(2015年: 3月:76.3万/トン 4月:76.6万/トン 5月:81.1万/トン 6月:77.0万/トン 7月:72.4万/トン 8月:67.9万/トン)

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

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