銅事情 6月号
2021年06月04日 資材委員会提供
<5月の国内事情>
内閣府が発表した2021年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)で前期比より1.3%減となり、3四半期ぶりのマイナス成長、年率換算値では5.1%減となった。新型コロナウィルス対策で年初に出された2度目の緊急事態宣言により、再び国内の経済活動が大きく制約されたことが響いた結果となった。その最大の原因としては、GDPの半分以上を占める個人消費が、3四半期ぶりの1.4%減と落ち込んだことによる。1月8日からの首都圏4都県で2度目の緊急事態宣言が始まったことにより飲食店の営業時間短縮や住民への不要不急の外出自粛の呼びかけにより、外食や宿泊、娯楽などのサービス分野を中心に消費が低迷したことによる。また個人消費と並ぶ内需の柱である設備投資も、2四半期ぶりの1.4%減と落ち込んだ。背景として、テレワーク(在宅勤務)できる環境を整えるためのIT投資が大きく伸びた前期に比べ、通信機器や自動車関連の投資が減速したことによるもの。一方で輸出は2.3%増と伸びた。コロナ禍による経済の落ち込みから回復基調にある米国、中国向けを中心に自動車や電子部品などの輸出が堅調であった。輸入は企業の生産活動の伸びを背景に4.0%増となった。また生活実感に近い名目GDPは前期比1.6%減、年率換算では6.3%減となり名目でも3四半期ぶりのマイナスとなった。
<銅事情>
5月の銅相場は、史上最高値更新後、弱含み。4月末同様9,900ドル台でスタートした後、チリ下院で、銅の販売に累進課税を導入することが承認されたことや、チリのエスコンディダ銅鉱山とスペンス銅鉱山の労働組合が、契約交渉の停滞を受けて、組合員にストライキ投票を呼びかけたこと、および世界経済の回復に加え、電気自動車や再生可能エネルギー向けで、銅の需要が増加するとの予測を背景に、10日に一時10,747ドルの史上最高値をつけた。しかしその後は、インフレへの懸念等により弱含み、24日には10,000ドルを割り込んだ。月末にかけては、米国の巨額インフラ投資計画による供給不足観測や、前述のチリ銅鉱山のストライキにより再び10,000ドルを回復し、5月末のLME銅相場は10,160ドル、5月平均のLME銅相場は10,184ドルとなった。5月のLME銅在庫量は、月初13万トン台から減少傾向。13日と20日に9千トン程度増加したが傾向は変わらず、5月末のLME銅在庫量は、120,700トンとなった。
5月の国内銅建値は、4月末から10万円上げの118万円/トンでスタートし、13日にプラス1万円の119万円/トン、17日にマイナス2万円の117万円/トン、20日にマイナス2万円の115万円/トン、24日にマイナス2万円の113万円/トンとなり、5月平均の銅建値は、115.7万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2020年 12月:84.8万円/t 2021年 1月:87.0万円/t 2月:91.8万円/t 3月:102.2万円/t 4月:104.5万円/t 5月:115.7万円/t 。
2021年6月の国内銅建値は、5月末から40万円上げの117万円/トンでスタート。