銅事情 6月号
2018年6月6日 資材委員会提供
<5月の国内事情>
内閣府は2018年1~3月期の実質GDP速報値を前期比0.2%減(年率換算0.6%減)と発表し、9四半期ぶりのマイナス成長となった。また、原油価格の上昇で輸入額が増加した分、GDP成長率が押し下げられ、名目GDP成長率も前期比0.4%減(年率換算1.5%減)となった。実質GDP成長率に対する内外需別の寄与度は、外需0.07%増、内需0.22%減だった。需要項目別の動向は、内需では民間最終消費支出(個人消費)は自動車や携帯電話などの支出が伸び悩み、わずかながら2四半期ぶりのマイナス、民間住宅(住宅投資)は2.1%減と3四半期連続でのマイナス、民間企業設備(設備投資)は0.1%減と6四半期ぶりにマイナスとなった。外需では輸出0.6%増と3四半期連続でのプラスだったが、輸出を牽引してきた電子部品デバイス、工作機械の輸出が減少したことで、2四半期続いた2%台の伸びと比べると大きく減速した。
2017年度の実質GDP成長率は、前年度比1.5%増と3年連続でのプラス成長となり、個人消費0.5%増、設備投資0.4%増など内需は1.1%増、外需も0.4%増と内外需ともにプラス成長となった。2018年度、2019年度については成長率は鈍化するものの、緩やかな回復が続くことが期待されている。
一方、地政学リスクとされていた北朝鮮情勢は、史上初の米朝首脳会談を6月12日にシンガポールで開催する予定で調整されていたが、北朝鮮の非核化の手法などで米朝の溝が埋まらず、一旦中止となった。その後、予定通り開催が決定し、米朝双方の思惑で周辺各国が振り回された1ヶ月となった。
5月の為替相場は1ドル=109円台~110円台で推移していたが、米トランプ政権のEU、カナダ、メキシコとの貿易摩擦激化を懸念し、米株式相場は下げ、リスクを回避する形で円買いが先行したことで、月末のNY円相場は1ドル=108円75~85銭まで円高が進んだ。
日経平均株価は米国経済の強さを背景にドル高円安が進行したことで、3ヶ月半ぶりに23,000円台を回復したが、イタリアの政局不安から世界同時株安となり、5月終値は22,201円だった。
<銅事情>
LME注1銅相場は、ドル高や中国需要の先行き不安から上値が重く、6,700ドル台で推移していたが、ドル高の一服、インド・ツチコリン銅製錬所の操業停止延長から6,900ドル台まで続伸した。その後はイタリアの政局不安に加えて、ユーロ圏総合PMIが市場予想を下回ったことでユーロ売りに拍車がかかり、銅相場は急落し、米通商問題や欧州政情不安を背景に月末は6,800ドル台で推移した。LME銅在庫量は3ヶ月ぶりに30万トン割れとなり、5月末の在庫量は28万3,000トンだった。
国内銅建値はマイナス1万円の79万円/トンでスタートし、14日にプラス1万円の80万円/トン、23日にプラス1万円の81万円/トン、29日にマイナス2万円の79万円/トンとなり、5月の平均建値は79.7万円/トンだった。
直近6か月の平均建値は、(2017年12月:81.0万円/t 1月:82.5万円/t 2月:80.1万円/t 3月:76.5万円/t 4月:77.8万円/t 5月:79.7万円/t)となり、2018年6月の国内銅建値はマイナス1万円の78万円/トンでスタートした。
注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)