市況動向

銅事情 5月号

2016年5月18日 資材委員会提供

<4月の国内事情>

 内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、4月の現状判断DIは、家計動向関連DI・企業動向関連DI・雇用関連DIのすべてが低下したことにより、前月比1.9ポイント低下の43.5ポイントとなった。また4月の先行き判断DIにおいても、家計動向関連DI・企業動向関連DI・雇用関連DIのすべてが低下したことにより前月比1.2ポイント低下の45.5となった。なお、季節調整値でみると、現状判断DIは前月比1.6ポイント低下の40.0ポイントとなり、先行き判断DIは前月比2.4ポイント低下の42.9ポイントとなった。以上のことから、「景気は、消費動向等への懸念に加え、熊本地震によるマインド面の下押しもあり、引き続き弱さがみられる。先行きについては、観光需要や設備投資増加への期待等がある一方、熊本地震に伴う先行き懸念が多く表明されていることから、「企業、家計のマインド等に与える影響に留意する必要がある」とまとめられた。
 また、日本電線工業会4月20日発表「2015年度の銅電線出荷量速報値」によると、2015年度出荷量は、速報値で対前年比3.4%減の69万8,981トンで6年ぶりの前年実績割れ、また3年ぶりの70万トン割れとの発表を行った。出荷量での主力部門である建設電販部門がマイナスに転じたほか、二番目の需要部門である、電機部門でも年間を通じての減少傾向となり全体的にも勢いに欠く展開となった。

 

<銅事情>

 4月に入ってLME注1銅相場は、中国経済の不透明感や米国の株安、さらにはサウジアラビアの石油増産への踏み切りを背景に非鉄の売り圧力が強くなり、下値抵抗線となる26週移動平均線の4,765ドルを割り込み、相場の地合いは悪化した。同月17日にはカタールでの主要産油国会合で石油増産凍結合意が見送られ、石油相場は更に下落、共連れに銅も売り基調となった。その後、第三週に入ってからは、中国経済統計値が全般に回復したことによる期待感や、クウェートの石油公社でのストライキによる原油相場の持ち直しで、5,000ドルを臨むこととなった。終盤には世界的に低金利傾向であることで、行き場を失った資金が商品相場に流入傾向となったこと、28日には日銀の追加金融緩和見送りで円がドルに対して強くなり、ドル建ての非鉄にドル安を好感した買いが入ったこと等で堅調な月末を迎えることとなった。
 一方、7ヶ月連続で減少の一途であったLME在庫は、月初の14万1,000トン台を底に微増傾向に転じ15万トン台とするも依然低水準での推移を示す状況となった。
 2016年4月の国内銅相場は、前月末の61万円/トンから1日にマイナス2万円の59万円/トンでのスタート、その後6日にはマイナス2万円の57万円/トンへ、更に11日にはマイナス2万円の55万円/トンへ、一転14日にプラス2万円の57万円/トン、20日にはプラス2万円の59万円/トンへ、25日にはプラス2万円の61万円/トンとした。以降は6日には5万円マイナスの56万円/トン、12日にはマイナス1万円の55万円/トンし現在に至る。
 2016年4月平均建値は58.1万円/トンとし前月と比べ2.1万円/トンのマイナスとなった。直近6か月の平均建値(2015年: 11月:63.8万/トン 12月:61.0万/トン 2016年: 1月:57.5万/トン 2月:57.6万/トン 3月:60.2万/トン 2016年: 4月:58.1万/トン)

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

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