市況動向

銅事情 1月号

2016年1月19日 資材委員会提供

<12月の国内事情>

 新年あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願い致します。 内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、12月の現状判断DIは、家計動向関連DIでは小売関連等が低下した一方、企業動向関連DIと雇用関連DIが上昇したことにより、前月比2.6ポイント上昇の51.2ポイントとなった。また先行き判断DIは雇用関連DIが上昇した一方で家計動向関連DI及び企業動向関連DIが低下したことにより、前月比0.1ポイント低下の49.0ポイントとなった。なお、季節調整値でみると、現状判断DIは、前月比横ばいの51.4ポイントとなり、先行き判断DIは前月比0.4ポイント低下の50.9ポイントとなった。今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「着実に持ち直している。先行きについては、引き続き設備投資や求人増加の継続等への期待がある一方、燃油価格などコストの上昇等への懸念がみられる」とまとめられた。12月の国内事情は、OPECの原油減産合意から原油相場の急騰や世界マネーが株式にシフトされる「グレートローテーション現象」による米株式の好調さ、米長期金利の上昇等活況状況からリスク選好ムードへ、為替相場は円安ドル高が日本国内経済を覆う状況となった。
 一方、電線工業会発表の「今年度下期の銅電線見通し」では、内需と輸出計で35万9,000トンと上期に比べ堅調としたが、実感としては下期の回復は手応えがあるところまでには至っていないと見られる。

 

<銅事情>

 12月のLME注1銅相場は、米大統領選挙においてトランプ氏が勝利したことを受け、米経済の活況予想や商品、株式、原油相場が共に急騰したことを背景に、5,880ドル近辺の上値抵抗線を突き抜け、一気に5,900ドルを突破し6,000ドルを臨むこととなった。しかし、このような市場の好感は投資家のリスク選好が強まることとなり円売りドル買いが進み、10ケ月ぶりに119円台の円安ドル高基調となり、銅相場は軟調となる。
 また1月14日のFOMC(米連邦公開市場委員会)による1年ぶりの追加利上げ決定や、2017年内に利上げ回数を2回から3回にする等の発表を受け、相場は2015年1月以来の5,390ドルを下値抵抗線とする様相を示すこととなった。
 LME在庫は、前月は下落の一途を辿り、月末には23万トン台となり、12月前半は更に在庫量を21万トン台まで減少させたが、第2週後半から第3週にかけて10万トン以上急増し、34万トンまで在庫を押し上げ、銅相場の頭を抑える方向へと進んだ。
 2016年12月の国内銅相場は、前月末の72万円/トンから1日にマイナス1万円の71万円/トンでスタート、その後6日にはプラス1万円の72万円/トンへ、9日にはマイナス2万円の70万円/トンへ、15日に再びプラス2万円の72万円/トンへ、20日にはマイナス3万円の69万円/トンとした。
 1月に入り、4日には1万円マイナスの68万円/トンでスタート、10日にはプラス1万円の69万円/トン、13日にはプラス2万円の71万円/トン、18日にはマイナス2万円の69万円/トンとし現在に至る。2016年12月平均建値は70.5万円/トンとし前月と比べ7.6万円/トンのプラスとなった。
 直近6か月の平均建値(2016年: 7月:54.8万/トン 8月:52.6万/トン 9月:52.5万/トン 10月:53.3万/トン 11月:62.9万/トン 12月:70.5万/トン )

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

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