市況動向

銅事情 12月号

2022年12月07日 資材委員会提供

<11月の国内事情>

 内閣府が11月15日に発表した2022年7月~9月の国内総生産(GDP)の速報値によると、物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整値)は前回の4月~6月に比べ0.3%減で、これは年率換算では1.2%減。4四半期ぶりのマイナス成長だった。
 マイナスの主な要因は、前期比5.2%増となった輸入で、輸出も1.9%増えてはいるものの、差し引きでGDPを0.7ポイント引き下げた。輸入の伸びは石油や石炭などが増えた事と、海外の広告関連会社への支払いが集中した事が大きく、内閣府は「一時的な要因」としている。GDPの半分以上を占める個人消費も伸び悩んだ。0.3%増と4半期連続で増加も、伸び率は前回の1.2%増から鈍化。新型コロナウイルスの第7波と時期が重なったことと、物価上昇により電化製品などが値上がり、耐久財の消費の落ち込んだことが影響した。企業の設備投資は1.5%増で、2四半期連続の増。経済活動の回復が進み、先送りされてきた生産設備の更新に加え、デジタル化や脱炭素化に向けた投資が活発化した。住宅投資は0.4%減で5四半期連続のマイナス。
 実質GDPの実額は543.6兆円でコロナ前の19年10月~12月期の水準を2四半期連続で上回り、後藤経済再生相は「対外サービスの一時的な支払い増がマイナスに寄与したが、景気は緩やかに持ち直しているという姿に変わりはない」と期待を示す一方で、「物価上昇が続く中で、家計の実質所得の減少や企業のコスト上昇など、家計・企業を取り巻く環境には厳しさが見られる」と談話で指摘した。足元では円安を背景にした物価高が続いており、全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)の伸び率は前月同期比で約31年ぶりに3%台を付け、賃金の伸びが追いつかず、実質的な賃金は目減りしているとし、新型コロナウイルスの第8波も懸念材料と見ている。政府が10月に決定した総合経済対策は、賃上げを重点分野に掲げた。来年の春闘に向け、個人消費拡大につながる賃上げの流れが作れるかが問われている。

<銅事情>

 11月の銅価格は、中国のコロナ政策を睨みながら、前月末比670ドル程度の上昇となった。初日は前月末から200ドル強上昇し、7,700ドル台となったものの、米連邦準備制度理事会(FRB)が、利上げの減速を明確に示さなかったことで2日と3日で上昇分を打ち消した。その後は、中国が新型コロナウイルス関連規制を一部緩和したことやドル安等を受け上昇基調となり、11日には8,400ドル台まで上昇した。しかし、中国で新型コロナウイルスの感染が拡大すると下落に転じ、21日には8,000ドルを割り込んだ。月末にかけては、中国での規制に対する抗議活動を受け、「ゼロコロナ」政策からの転換が期待され、8,000ドルを回復した。11月末のLME銅価格は8,198ドル、11月平均のLME銅価格は8,030ドルとなった。
 11月のLME銅在庫量は、前月末対比17.1%の減少。初日、前月末比4千トン減の10万2千トンとなった後、10日まで減少を続け、7万7千トンとなった。その後2日間で1万2千トン増加した後は、月末まで9万トンを挟んだ狭いレンジでの増減となり、11月末のLME銅在庫量は、88,275トンとなった。
 11月の国内銅建値は、10月末からマイナス3万円の117万円/トンでスタートし、7日にプラス8万円の125万円/トン、9日にマイナス2万円の123万円/トン、14日にプラス2万円の125万円/トン、16日にマイナス3万円の122万円/トン、18日マイナス3万円の119万円/トン、22日にマイナス2万円の117万円/トン、28日にマイナス1万円の116万円/トンとなり、11月平均の銅建値は、120.2万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2022年 6月:127.0万円/t 7月:108.6万円/t 8月:113.0万円/t 9月:115.9万円/t 10月:117.9万円/t 11月:120.2万円/t。
 2022年12月の国内銅建値は、11月末から3万円上げの119万円/トンでスタート。



過去の銅事情