市況動向

銅事情 4月号

2025年04月08日 資材委員会提供

<3月の国内事情>

 日銀が4月1日に発表した2025年3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス12で、前回2024年12月調査のプラス14から小幅の悪化となった。大企業・製造業の景況感の悪化は4四半期ぶりで、米トランプ政権による関税の上乗せに伴う不透明感の高まりに加え、原材料コストの上昇や、中国や欧州などの海外経済の減速を背景に、多数の業種で景況感が悪化、16業種のうちの11業種が悪化となっている。業種別には、米政府が3月に鉄鋼・アルミニウム製品に対して25%の追加関税を導入したことをうけて、鉄鋼が10ポイント悪化しマイナス18に、コスト上昇を要因に紙・パルプが7ポイント悪化しプラス18に、また、中国経済の低迷など海外需要の伸び悩みを背景に、はん用機械が2ポイント悪化のプラス27ポイントとなっている。その他に繊維が23ポイント悪化の0、化学が8ポイント悪化のプラス13、石油・石炭製品が17ポイント悪化の0などもあった。一方で改善となったのは自動車と非鉄金属など。自動車は生産の回復で5ポイント改善のプラス13、非鉄金属も3ポイント改善のプラス15という結果。大企業・製造業の先行きは横ばいの結果となった。が、業種別ではトランプ大統領の示す貿易相手国と同水準まで関税を引き上げる「相互関税」や、自動車にも25%の追加関税を課すという見通しもあり、自動車が4ポイント、自動車用部品などが含まれるはん用機械が8ポイントの悪化となっているほか、非鉄金属と金属製品も各々9ポイント悪化となっている。関税政策への懸念や不透明感の表れとみられる。
 大企業・非製造業の業況判断指数(DI)のプラス35は前回から2ポイントの小幅改善で、1991年以来の高水準を維持した。引き続きインバウンド需要が強く、宿泊・飲食サービスや、小売などが上昇した。大企業・非製造業の先行きは7ポイント悪化だった。コスト上昇の懸念から、幅広い業種で悪化となっており、なかでも建設は10ポイントの悪化だった。
 足元の価格の動きを示す販売価格判断DIは大企業・製造業がプラス28、大企業・非製造業がプラス32となり、それぞれ3ポイント上昇し、コストの上昇を販売価格に転嫁する動きが進んでいる。一方の仕入価格判断DIは大企業・製造業で2ポイント上昇のプラス41、大企業・非製造業で4ポイント上昇のプラス48だった。企業の物価見通しの物価全般の見通しでは、全規模・全産業では1年後プラス2.5%、3年後プラス2.4%、5年後プラス2.3%で、いずれも前回から0.1%上昇した。5年後の物価の伸びが上振れしたのは3四半期ぶりの結果。
 企業の事業計画の前提となる想定為替レートは、2025年度通期1ドル=147.06円(全規模・全産業)で、24年度の146.88円から円安方向に修正された。
 2025年度の全規模・全産業の設備投資計画は前年度比+0.1%。その内、大企業・製造業は+4.8%で、大企業・非製造業は+2.1%だった。製造業が大企業、中堅企業、中小企業で全て前年度比プラスになっている反面で、非製造業では大企業のみプラスで、中堅企業と中小企業は前年度比でマイナスになっている。
 雇用人員判断DIは全規模・全産業はマイナス37で前回から1ポイント悪化。先行きに関しては製造業、非製造業ともに、大企業、中堅企業、中小企業の全てにおいて悪化しており、全規模・全産業の合計では2ポイント悪化のマイナス39という結果。人手不足がより深刻になっていくことが見込まれている。

<銅事情>

 3月の銅価格は、前月末同様の9,300ドル台から上昇トレンドで、終値で10,000ドルに迫ったが、終盤失速し、9,600ドル台で終わった。中国の景気刺激策やドル安、また、米国の関税政策に対する懸念緩和などから、25日終値で、9,982ドルまで上昇した。しかし、26日にトランプ米大統領が、米国に輸入される自動車に最大25%の関税を課す計画を発表すると、相互関税、貿易戦争拡大、経済悪化への懸念から下落し、3月末のLME銅価格は9,673ドル、3月平均のLME銅価格は、9,731ドルとなった。
 3月のLME銅在庫量は、第一週で1,800トン減少、第二週で22,350トン減少、第三週で9,200トン減少、第四週で10,400トン減少、月末は微増したものの、月間では41,850トン減少し、3月末のLME銅在庫量は、213,275トンで、前月末対比マイナス16.4%となった。
 3月の国内銅建値は、2月末からプラス2万円の146万円/トンでスタートし、6日にプラス2万円の148万円/トン、11日にマイナス4万円の144万円/トン、13日にプラス6万円の150万円/トン、18日にプラス1万円の151万円/トン、25日にプラス3万円の154万円/トンとなり、3月平均の銅建値は、149.6万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2024年 10月:147.8万円/t 11月:144.8万円/t 12月:141.9万円/t 2025年 1月:145.9万円/t 2月:145.6万円/t 3月:149.6万円/t
 2025年4月の国内銅建値は、3月末からマイナス4万円の、150万円/トンでスタート。



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