市況動向

銅事情 1月号

2021年01月12日 資材委員会提供

<12月の国内事情>

 日銀が発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、マイナス10%ポイントとなり、前回9月調査(マイナス27%ポイント)から17ポイント増となり3期連続の改善となった。業種別でみると、16業種中15業種で改善し最も上昇幅が大きかったのは中国や海外向けの需要急回復に伴い自動車で48ポイント増となり、その回復にけん引される形で鉄鋼や電気機械、生産用機械といった幅広い業種で景況感が上向いたためである。
 大企業非製造業のDIは、マイナス5%ポイントとなり、前回9月調査(マイナス12%ポイント)から7ポイント増となり2期連続の改善となった。業種別でみると、12業種中11業種で改善した。その理由としては、政府の観光需要喚起策【GO TO トラベル】などが寄与したためとみられる。
 今後の先行きについては、大企業製造業でマイナス8%ポイントと小幅改善、大企業非製造業では、マイナス6ポイントと悪化が見込まれている。製造業については、輸出や生産も持ち直しが一服するとみられることから自動車の改善ペースの鈍化が見込まれるためであり、非製造業については、感染者急増に伴う首都圏の緊急事態宣言に伴う飲食店などの営業時間短縮施策や不要不急の外出自粛等の影響も大きく悪化の予想を見込む。
 設備投資計画については全規模・全産業ベースで前年度比3.9%減となり、前回調査からマイナス1.3%と下方修正されている。これは、収益の悪化を受けて設備投資の先送りや規模縮小の動きが出たためである。

<銅事情>

 12月の銅相場は、前月末並みの7,600ドル台でスタートし、序盤は底堅く推移した。9日以降は、米国で新型コロナウイルスワクチンの接種開始、米経済対策合意への期待、米株も主要三指数が揃って最高値を更新する等により強含み、18日には、終値で約8年ぶりとなる、8,000ドル目前まで上昇した。しかし、その後は、英国でのコロナ変異種拡大に伴うロックダウンと、英国からの入国禁止措置等、危機収束が見えない中、年末に向けては金融全般の動きも乏しく尻すぼみとなり、12月末のLME銅相場は7,741ドル、12月平均のLME銅相場は7,755ドルとなった。
 12月のLME銅在庫量は、8日までは15万トンレベルで推移したが、以降は一貫して減少し、12月末のLME銅在庫量は、10万8,000トンとなった。
 12月の国内銅建値は、11月末から2万円上げの83万円/トンでスタートし、4日にプラス1万円の84万円/トン、11日にプラス2万円の86万円/トン、16日にマイナス1万円の85万円/トン、21日にプラス2万円の87万円/トン、23日にマイナス2万円の85万円/トンとなり、12月平均の銅建値は84.8万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2020年 7月:72.1万円/t 8月:72.9万円/t 9月:75.0万円/t 10月:75.2万円/t 11月:77.6万円/t 12月:84.8万円/t。
 2021年1月の国内銅建値は、12月末から1万円下げの84万円/トンでスタート。


過去の銅事情