市況動向

銅事情 7月号

2016年7月11日 資材委員会提供

<6月の国内事情>

 内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、6月の現状判断DIは、家計動向関連DI(サービス関連)、企業動向関連DI(非製造業部門)、雇用関連DIのすべてが低下したことにより、前月比1.8ポイント低下の41.2ポイントとなった。また6月の先行き判断DIについても、家計動向関連DI、企業動向関連DI、雇用関連DIのすべてが低下し、前月比5.8ポイント低下の41.5ポイントとなった。なお、季節調整値でみると、現状判断DIは前月比0.7ポイント低下の39.9ポイントとなり、先行き判断DIは前月比4.9ポイント低下の39.7ポイントとなった。今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「景気は、海外経済の不確実性の高まりを背景とした円高、株安の中、企業動向等への懸念により、引き続き弱さがみられる。先行きについては、熊本地震からの復興、公共工事の増加への期待がある一方、英国のEU離脱問題等による海外経済や金融資本市場の動向等への懸念が大きいことに留意する必要がある」とまとめられる。
 また、日本電線工業会6月20日発表「5月の銅電線の出荷銅量実績速報」によると、全体では前年同月比6.5%減と6ケ月連続でのマイナスとなった。特に最大需要部門である「建設電販部門」での連続前年割れやそれに続く需要部門である「電気機械部門」でも落ち込みが続き、全体を押し下げることとなった。
 一方、6月の国内事情は23日に行われた英国で「EU離脱の是非を問う国民投票」の影響を受け、投票直前から投資家のリスク回避姿勢により安全資産への資金移動が鮮明となった。これにより円が急進し為替も一時は99円台といった、2年7ケ月ぶりの円高ドル安となると共に株価も大きく下落することとなった。

 

<銅事情>

 6月に入ってLME注1銅相場は、中国経済の先行き不安とイエレンFRB議長による数か月以内の利上げ示唆発言の影響から4,700ドルあたりを抵抗帯とする、上値の重い展開となった。また序盤は15万トン台で推移していたLME銅在庫は2週目より中国からの地金移動の影響を受け、急増し21万トン台と4ケ月ぶりの高水準となりこれも投資家の警戒感を生む要因となった。その後は英国のEU離脱懸念からブラックスワンへの警戒、投資家のリスクオフへと進み、銅相場は4,500ドル台へと更に軟調な推移となった。
 その後、国民投票でのEU離脱の結果以降は中国経済の改善兆候等の非鉄への安心感の下支えもあり、リーマンショックのような大暴落は回避され4,700ドル前後での推移を示した。
 LME在庫は今月ピークの21万トン台から少し減少したものの、以降、19万トン前後での推移を続けた。
 2016年6月の国内銅相場は、前月末の56万円/トンからでスタート、6日にマイナス2万円の54万円/トンとし、更に9日にはマイナス1万円の53万円/トンへ、17日にはマイナス1万円の52万円/トンへ、一転23日にはプラス1万円の53万円/トンとした。以降は7月に入り1日には1万円プラスの54万円/トンとし現在に至る。
 2016年5月平均建値は53.4万円/トンとし前月と比べ1.8万円/トンのマイナスとなった。
 直近6か月の平均建値(2015年: 12月:61.0万/トン 2016年: 1月:57.5万/トン 2月:57.6万/トン 3月:60.2万/トン  4月:58.1万/トン 5月:55.2万/トン  6月:53.4万/トン)

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

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