市況動向

銅事情 10月号

2020年10月06日 資材委員会提供

<9月の国内事情>

 日銀が発表した9月短観の大企業製造業の業況判断指数(DI)は、マイナス27ポイントと6月の前回調査時点のマイナス34ポイントから7ポイント上がった。ポイント改善は、2017年12月以来の2年9か月ぶりとなった。新型コロナウイルス感染拡大に伴い停滞していた経済活動が再開に向かいだしたことに伴い非製造業の景況感も上向いた。但し、感染再拡大への不安感が足かせになり、今もなおその水準は低いままである。主要16業種のうち11業種で改善しており、上昇幅が最も大きかったのは石油・石炭製品のマイナス13ポイントと前回調査から19ポイントあがった。輸出の改善により自動車向けが持ち直し、関連業種である鉄鋼など幅広い業種で景況感が上向いた為である。
 一方、大企業非製造業はマイナス12ポイントと前回調査から5ポイントの改善となりおよそ1年3か月ぶりで、主要12業種中10業種で改善し、特に小売りや通信で大幅に上向いた。但し3か月先の見通しを示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業でマイナス17ポイントと更に10ポイント改善するものの、なおマイナス圏にとどまる見通し。大企業非製造業も1ポイントの上昇にとどまるマイナス11ポイントと製造業以上に回復には時間がかかりそうである。
 新型コロナウイルスの感染者数は、欧米や新興国でも引き続き増え続ける恐れもあり、世界経済の回復遅れや日本国内でも感染再拡大の不安は消えないため、対面型サービス業を中心に厳しい収益環境は続くとみている。

<銅事情>

 9月の銅相場は、前月並みの6,700ドル台でスタート。利益確定売りや米株式の下落等で、3日には6,600ドル台に下落したものの、LME在庫の減少や堅調な中国経済指標により、15日には6,800ドル台を回復した。しかし、月末に向けて、ドル高とLME在庫の増加で弱含み、9月末のLME銅相場は6,610ドル、9月平均のLME銅相場は6,712ドルとなった。
 9月のLME銅在庫量は、月初の8.5万トンから減少し、7万トン台で推移していたが、終盤にかけて3万トンの増加が3日間継続し、9月末のLME銅在庫量は、16万3,000トンとなった。
 9月の国内銅建値は、8月末から1万円上げの75万円/トンでスタートし、4日にマイナス1万円の74万円/トン、8日にプラス2万円の76万円/トン、11日にマイナス1万円の75万円/トン、16日にプラス1万円の76万円/トン、24日にマイナス2万円の74万円/トンとなり、9月平均の銅建値は75.0万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2020年 4月:58.4万円/t 5月:60.5万円/t 6月:65.9万円/t 7月:72.1万円/t 8月:72.9万円/t 9月:75.0万円/t。
 2020年10月の国内銅建値は、9月末から1万円上げの75万円/トンでスタート。


過去の銅事情