市況動向

銅事情 2月号

2020年02月10日 資材委員会提供

<1月の国内事情>

 日銀は経済・物価情勢の展望レポートで、実質GDPの成長率見通し(前年度比)を2019年度0.8%増、2020年度0.9%増、2021年度1.1%増とし、10月見通しと比較すると0.1~0.2ポイント上方修正した。要因としては、政府の大型経済対策による押し上げ効果を反映しているが、消費増税による個人消費へのマイナス影響が一定期間続くこと、建設業の人手不足による公共投資の遅延などを想定し、小幅な押し上げ効果を見込んでいる。
 一方、消費者物価指数(前年度比)は、2019年度0.6%増、2020年度1.0%増、2021年度1.4%増とし、足元の物価の弱さを反映して10月見通しと比較すると0.1ポイントずつ下方修正した。
 日銀がレポートを公表した時点では英国のEU離脱や中東情勢などの地政学リスク、国内では消費増税の影響などが下振れリスクの要因とされていたが、中国・武漢発の新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大で中国の経済活動は停滞し、株価も世界規模で大きく下落した。日経平均株価も1月末には22,000円台まで下落するなど国内経済も大きな影響を受けており、新型肺炎問題が長期化すればGDPも成長率見通しも見直しが必要になってくると思われる。

<銅事情>

 1月のLME銅相場は100ドル超の下落となった年明けから、中国の景気刺激策への期待や米中貿易協議の第一段階・合意署名を受け、昨年5月以来の6,300ドル台まで上昇し、上値を試す展開となったが、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大のニュースが流れると、中国の銅需要は減退するとの懸念が広がった。月末に向けては10営業日続落して下値を探る展開が続き、1月末のLME銅相場は5,621ドルまで下落した。1月平均のLME銅相場は6,076ドルとなり、月平均のLME銅相場は12月(6,070ドル)とほぼ変わらなかったが、月中の銅相場変動幅は700ドル近くとなり、大荒れな1カ月だった。
 1月のLME銅在庫量は一時12万トン台まで減少したが、新型肺炎の感染拡大懸念が広がると銅在庫量も2日間で7万トン超増加し、1月末のLME銅在庫量は18万3,000トンとなった。
 1月の国内銅建値は、6日にマイナス2万円の70万円/トンでスタートし、9日にプラス1万円の71万円/トン、14日にプラス2万円の73万円/トン、22日にマイナス1万円の72万円/トン、24日にマイナス2万円の70万円/トン、28日にマイナス3万円の67万円/トンとなり、1月平均の銅建値は70.6万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、(2019年8月:65.3万円/t 9月:65.8万円/t 10月:66.3万円/t 11月:68.1万円/t 12月:70.5万円/t 1月:70.6万円/t)となり、2020年2月の国内銅建値はマイナス3万円の64万円/トンでスタートした。


過去の銅事情