銅事情 1月号
2016年1月7日 資材委員会提供
<12月の国内事情>
日本電線工業会発表「銅電線 部門別出荷速報」によると、全体では前年同月比1.2%増の6万1,800トンと5ヵ月ぶりの増加となった。部門別に見ると、最大出荷部門の建設電販部門は対前年同月比マイナス1.0%(3ヶ月続連続の減少)、対前月比でもマイナス4.0%の3万トンとし、需要部門である電機部門でも対前年同月比でマイナス3.2%(14ヶ月連続の減少)、対前月比でもマイナス5.0%の1万2,600トンであったが、自動車部門と輸出部門の復調がプラスに寄与した。建設電販部門では首都圏建設需要の工期の遅れによる不調は回復状況にあるも、大きな盛り上がりに欠けたまま年末を迎えることとなった。国内経済動向は、FRBのイエレン議長が10年ぶりの政策金利引き上げを16日に決定し、株価は高騰、為替は円安・ドル高基調となり、更に原油は7年ぶりの安値と相場に大きな影響を与えることとなった。
<銅事情>
12月のLME注1銅相場は、前月末の6年ぶりの4,700ドル割れの状態から12月に入っても中国経済の先行き懸念とドル高基調から更に軟調推移となり、4,500ドル〜4,600ドル台での一進一退の状況となった。その後ECB(欧州中央銀行)での追加金融緩和策によってユーロ高・ドル安となり、非鉄全体に買いが入ったことや資源大手のグレンコアとフリーポートが減産計画を発表したことにより一時、堅調な価格推移となった。しかし中旬には石油輸出国機構(OPEC)が減産を見送ったため原油は7年ぶりの安値となった。また16日にはFRBのゼロ金利政策の打ち切りにより、主要国の株式相場はほぼ全面高となり、また為替相場はドル高・円安となり、原油安と共にLME銅相場の頭を重く押さえ4,500ドル台での推移となった。一方、LME在庫は前月の年初以来の24万トン前半の低水準から更に減少の一途となり、23万トン前半での低位状態を継続した。2015年12月の国内銅相場は、前月末の60万円/トンから、月初1日にプラス1万円の61万円/トンでのスタート、その後16日にマイナス1万円の60万円/トンへ、再び22日にはプラス2万円の62万円/トンとなった。新年1月からは、4日よりマイナス1万円の61万円/トンでスタートし、7日にはマイナス2万円の59万円/トンとし現在に至る。
2015年12月平均建値は61.0万円/トンとし前月と比べ2.8万円/トンのマイナスとなった。直近6か月の平均建値(2015年:7月:72.4万/トン 8月:67.9万/トン 9月:68.0万/トン 10月:67.7万/トン 11月:63.8万/トン 12月:61.0万/トン)
注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)