銅事情 12月号
2015年12月8日 資材委員会提供
<11月の国内事情>
内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、11月の現状判断DIは、企業動向関連DI、雇用関連DI共に上昇するも、家計動向関連DIでの小売関連などが低下したことから前月比2.1ポイント低下の46.1ポイントとなった。また11月の先行き判断DIは、雇用関連DIは上昇した一方で、家計動向関連DI及び企業動向関連DIは前月比0.9ポイント低下の48.2ポイントとなった。以上のことから、「景気は、中国経済に係る動向の影響等がみられるが、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、中国経済の動向やテロ事件など、海外情勢への懸念がある一方で、観光需要や燃料価格の低下、雇用の改善への期待等がみられる」とまとめられた。日銀による10月30日発表の「展望レポート」の「経済・物価の見通し」によると、輸出面・生産面については新興国の減速の影響がみられることなどを反映し、2015年度を中心に成長率の見通しを下方修正した。一方、物価見通しについては、物価の基調は着実に改善しているとの見方は維持したものの、原油価格の想定を下方修正したことを主因に、2015年度、2016年度ともに下方修正。前年比が2%程度に達する時期も2016年度後半へ半年ほど後ずれとのことであった。
<銅事情>
11月のLME注1銅相場は、前月末の5,000ドルを維持できるかが焦点となる攻防状況から、中国経済の不透明感や10月の米雇用統計が2014年以来の最大の伸びを示したこと、また失業率も2008年4月以来の低水準であったことから、米国での12月利上げ観測を呼び、ドル高基調へ推移した。また原油安もネガティブ要因として加わり銅相場は軟調地合いとなった。また11月13日発生したパリ同時多発テロによる世界経済への悪影響も懸念され非鉄相場全般を圧迫することとなった。LME銅相場の4,700ドル割れは2009年5月以来6年ぶりの安値となった。一方LME在庫は前月27万トンを割り込んだ局面から更に在庫減少の一途をたどり月末には2015年、年初以来の24万トン前半の低水準となった。今後もドル高、原油安に加え中国の株価下落が非鉄相場に大きな影響を与える模様である。2015年11月の国内銅相場は、前月末の68万円/トンから2日にマイナス1万円の67万円/トンでのスタート、その後6日にはマイナス1万円の66万円/トンへ、12日にはマイナス1万円の65万円/トンへ、18日にはマイナス2万円の63万円/トン、25日には更にマイナス3万円の60万円/トンとなった。12月からは、1日よりプラス1万円の61万円/トンでスタートし現在に至る。
2015年11月平均建値は63.8万円/トンとし前月と比べ3.8万円/トンのマイナスとなった。直近6か月の平均建値(2015年: 6月:77.0万/トン 7月:72.4万/トン 8月:67.9万/トン 9月:68.0万/トン 10月:67.7万/トン 11月:63.8万/トン)
注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)