銅事情 1月号
2025年01月09日 資材委員会提供
<12月の国内事情>
日銀が12月13日に発表した2024年12月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス14で、前回のプラス13から小幅の改善。大企業・製造業の業況判断指数(DI)の改善は2四半期ぶりだった。素材業種では総じて市況が堅調に推移している中で、業績の改善期待の高まりを受けて石油・石炭製品、化学、紙・パルプなどの大きな改善が影響し、素材業種全体として改善につながっている。加工業種では認証不正問題で低迷していた自動車生産が回復し、自動車がプラス8で1ポイント改善、それにともなって自動車用部品などが含まれるはん用機械も前回調査から6ポイント改善しプラス29、人工知能(AI)関連の半導体製造装置の需要増加などで生産用機械が8ポイント改善のプラス21となっているところがプラス材料となったが、原材料価格の上昇を背景に食料品などが悪化したことで、加工業種としては横ばいとなっている。一方で大企業・製造業の先行きは1ポイント悪化している。トランプ次期大統領による関税引き上げ策といった通商政策が懸念材料となり、不確実性の高まっていることがその要因。大企業・非製造業はプラス33で前回のプラス34からこちらは小幅に悪化しているものの、1991年以来の高水準は維持している。悪化の主な要因は人手不足の深刻化、米価を中心としたコストの増加、季節商材の需要の弱さなどがあげられるが、不動産や運輸・郵便など需要回復を受けて改善する業種もあり、業況が目立って悪化しているわけではない。大企業・非製造業の先行きは5ポイント悪化している。人手不足の深刻化や金利上昇への警戒感などから、慎重な見方となっている。企業の事業計画の前提となる想定為替レートは、2024年度通期1ドル=146.88円(全規模・全産業)で、9月調査の145.15円からより実勢に近い円安方向へ修正された。トランプ次期大統領の政策は円安・ドル高方向の圧力に、日米の金融政策のスタンスの違いは円高・ドル安方向の圧力になるため、先行きの不透明感は強い。
24年度の全規模・全産業の設備投資計画は前年比+9.7%(前回比+0.8%)で、その内、大企業・製造業は+16.0%(前回比₋2.4%)で、大企業・非製造業は+8.7%(前回比+2.5%)となっている。
足元の価格の動きを示す販売価格判断DIは大企業・製造業で1ポイント、仕入価格判断DIは同じく2ポイントそれぞれ低下した。企業の物価見通しの物価全般の見通しでは、大企業・製造業の1年後が前年比プラス2.0%、3年後がプラス1.8%、5年後がプラス1.7%で前回調査から0.1%低下してはいるものの、全規模・全産業では1年後プラス2.4%、3年後プラス2.3%、5年後プラス2.2%で、前回調査と変わらない数字になっており、これは、企業が政府・日銀が掲げる2%の物価目標近くで推移していくと見ていることを表している。
雇用人員判断DIは全規模・全産業はマイナス36で前回から横ばい。大企業・製造業ではマイナス18で前回から1ポイント改善。大企業・非製造業はマイナス39で前回から1ポイント下落。中堅企業・中小企業においては製造業、非製造業ともに全て悪化していた。先行きに関しては大企業・非製造業が横ばいとなっている以外は軒並み悪化しており、人手不足がより深刻になっていくことが見込まれている。
<銅事情>
12月の銅価格は、前月末の8,800ドル台から、9,100ドル台まで上昇した後、下落傾向となり、前月末割れに終わった。チリの鉱山会社Antofagastaと中国の江西銅業が2025年の銅精鉱処理料金を大幅に引き下げることに合意したことで、銅精鉱の供給に懸念が生じた他、中国の追加景気刺激策への期待から、9日までに終値で9,100ドル強まで上昇した。しかしその後は、FOMC政策金利見通しの中央値で、2025年に0.25%の利下げ2回が示され、前回の4回から半減したことで、米債利回り、ドル共に上昇した他、中国の経済指標で、固定資産投資の減速が発表されたことなどにより下落し、12月末のLME銅価格は8,706ドル、12月平均のLME銅価格は8,920ドルとなった。12月のLME銅在庫量は、2週目に2,800トン強増加した以外は週単位減の少となり、月間では600t強の増加にとどまった。12月末のLME銅在庫量は、271,350トンで、前月末対比プラス0.2%となった。
12月の国内銅建値は、11月末からマイナス2万円の139万円/トンでスタートし、5日にプラス1万円の140万円/トン、10日にプラス3万円の143万円/トン、13日にマイナス1万円の142万円/トン、19日にプラス1万円の143万円/トン、24日にプラス1万円の144万円/トンとなり、12月平均の銅建値は、141.9万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2024年 7月:154.0万円/t 8月:136.5万円/t 9月:136.7万円/t 10月:147.8万円/t 11月:144.8万円/t 12月:141.9万円/t。
2025年1月の国内銅建値は、12月末からマイナス1万円の、143万円/トンでスタート。