市況動向

銅事情 6月号

2015年6月10日 資材委員会提供

<5月の国内事情>

 内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、5月の現状判断DIは家計動向関連DIと雇用関連DIが上昇したが、一方で企業動向関連DIが低下したことから前月比0.3ポイント低下の53.3ポイントとなった。また、先行き判断DIは、物価上昇への懸念等がみられるものの、夏のボーナス及び賃上げ、外国人観光需要への期待等がみられ、家計動向部門及び企業動向部門で上昇したため、前月比0.3ポイント上昇の54.5ポイントとなった。以上のことから、「景気は、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、物価上昇への懸念等がみられるものの、夏のボーナス及び賃上げ、外国人観光需要への期待等がみられる」とまとめられた。また日本電線工業会発表「2015年度銅電線出荷量速報値」によると、4月は前年同月比で3.1%減の5万7,500トンとし6ケ月連続のマイナスとなった。部門別には最大需要部門である建設電販部門は前年同月比2.7%増と6ケ月ぶりの増加、また電力部門に関しては同38.6%増の5ケ月連続の増加と回復基調とした。一方、電機部門では7ケ月、自動車部門は2ケ月連続の前年同月比マイナスと低調な推移を示した。
 5月の為替相場は、前月に引き続き120円台の安定相場を示していたが、22日にFRBイエレン議長が年内の利上げを示唆したことがドル高進行のきっかけとなり、124円台での推移となった。

 

<銅事情>

 5月のLME注1銅相場は、前月の6,000ドルから月前半には上値抵抗線である6,434ドルを突破する局面も見せた。その要因として今月に入り低調な米経済指数を背景にした、米金利アップの後ずれ予測によるドル安傾向や中国追加経済刺激策への期待感があげられる。しかし、5月中盤以降からギリシア信用不安問題やECB(欧州中央銀行)ドラキ総裁による欧州量的緩和策の継続発言によるユーロ安ドル高傾向や中国の需要懸念が重しとなり、6,100ドル台での推移となった。またLME在庫も、前月同様33万トン台前後としており、引き続き銅の押し下げ圧力となった。またLMEのリング会員である英トライデント・メタルズは、四半期報告書で「2015年度非鉄金属価格見通し」を中国経済の減速懸念と米国が金融引き締めを行うとの観測で、進行するドル高が弱い材料となるとのことから6,200ドル〜6,500ドルレンジへの下方修正した。
 2015年5月の国内銅相場は、前月末の76万円/トンからスタート、7日にプラス5万円の81万円/トン、更に13日にはプラス1万円の82万円/トンへ、19日にはマイナス1万円の81万円/トン、27日にはマイナス1万円の80万円/トンとなった。6月からは、1日よりマイナス1万円の79万円/トンとして現在に至る。
 2015年5月平均建値は81.1万円/トンで前月と比べ4.5千円/トンのプラスとなった。直近6か月の平均建値(2014年: 12月:81.6万/トン 2015年: 1月:74.6万/トン 2月:72.4万/トン 3月:76.3万/トン 4月:76.6万/トン 5月:81.1万/トン)

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

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