銅事情 7月号
2021年07月07日 資材委員会提供
<6月の国内事情>
日銀が四半期ごとに実施している全国企業短期経済観測調査(短観)の6月調査において、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、プラス14と9ポイント上昇した。これは4期連続の改善であり、18年12月期(プラス19)以来の高水準となった。世界経済の回復や円安を追い風に、新型コロナウィルスのワクチン接種の進展などもあり大企業・製造業では16業種のうち、化学や非鉄金属などの素材業種、汎用機械、電気機械など14業種で改善が進んだ。一方世界的な半導体不足の影響により自動車は、前回から7ポイントの悪化のプラス3となった。大企業・非製造業は、プラス1と前回から2ポイント改善し、5期ぶりにプラス圏に転じた。これは娯楽業を含む対個人サービスや運輸・郵便など12業種中8業種で改善した結果によるもの。但し、新型コロナウィルス感染症の企業心理への悪影響は全体として和らぐ方向ではあるものの、回復のペースは鈍い。
先行きについては、大企業・製造業がプラス13と1ポイントの悪化が見込まれている。これは、木材・木製品、化学、食料品などで原材料価格の高騰による企業収益への影響を懸念する声がでているため。
<銅事情>
6月の銅相場は、800ドル近い下落。中国需要の指標であるプレミアムが低下した事に加え、米新規失業保険件数の力強い内容が、米金融引き締めの懸念につながり、3日に終値で10,000ドルを割り込んだ。中国当局が商品価格抑制の為に国家備蓄を放出すると発表した事や、FOMC(米連邦公開市場委員会)が利上げ時期の想定を前倒しした事を受け、中旬には9,500ドル割れ。その後も、FRB(米連邦準備制度理事会)による早期金融引き締め観測や、LME在庫が増加した事により弱含みの展開で、6月末のLME銅相場は9,385ドル、6月平均のLME銅相場は9,612ドルとなった。6月のLME銅在庫量は、月初12万トン台で始まり、9日に13万トン台、14日に14万トン台、17日に16万トン台、23日に19万トン台、24日に21万トン台と、2020年6月以来の水準まで増加し、6月末のLME銅在庫量は、211,975トンとなった。
6月の国内銅建値は、5月末から4万円上げの117万円/トンでスタートし、4日にマイナス4万円の113万円/トン、9日にプラス1万円の114万円/トン、15日にマイナス4万円の110万円/トン、18日にマイナス4万円の106万円/トン、23日にプラス1万円の107万円/トン、25日にプラス2万円の109万円/トンとなり、6月平均の銅建値は、111.1万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2021年 1月:87.0万円/t 2月:91.8万円/t 3月:102.2万円/t 4月:104.5万円/t 5月:115.7万円/t 6月:111.1万円/t。
2021年7月の国内銅建値は、6月末と変わらずの109万円/トンでスタート。