市況動向

銅事情 8月号

2023年08月08日 資材委員会提供

<7月の国内事情>

 日銀は金融政策決定会合でまとめる「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を28日公表した。その中で、消費者物価指数(生鮮食品を除く=コアCPI)の前年度比の上昇率の見通しを2023年度は2.5%に上方修正し、(前回4月1.8%)24年度は1.9%(前回4月2.0%)、25年度は1.6%(前回4月1.6%)と、数値上で政府・日銀が物価安定の目標としている2.0%付近が続くと見込んだ。6月のコアCPIの上昇率は前年同月比で3.3%と高止まりしており、輸入物価が下落しているなかでも物価上昇が長引くと日銀は見る。
 リポートでは、4月時点と比べ、強気の表現が目立っており、前回4月の1.8%から2.5%に大きく見通しを修正した23年度の物価上昇率については、「輸入物価上昇と起点とする価格転嫁が想定を上回って進んでいることなどから、大幅に上振れている」と分析し、更に「23年度と24年度は上振れリスクの方が大きい」とした。
 国内の物価は輸入物価の上昇と共に押し上げられてきたが、今春以降、輸入物価は下落しており、輸入物価を起点とした価格転嫁の影響が薄れてプラス幅がいったん縮小したあと、企業の賃金や価格設定行動の変化で再び上昇率が拡大するというシナリオを日銀は描いている。
 25年度の見通しは1.6%で4月時点の見通しから据え置いており、海外経済の下振れリスクや資源価格の動向などの不確実性が高いため物価上昇の持続は不透明。日銀は賃上げを伴う物価上昇を重視するが、「物価や賃金が上がりにくいことを前提とした慣行や考え方が寝強く残り続ける場合、来年以降は賃上げの動きが想定ほど強まらず、物価も下振れる可能性がある」と指摘した。

<銅事情>

 7月の銅価格は、前月末対比400ドル超の上昇。12日までは8,200ドル~8,400ドルのレンジ内で小幅な値動きであったが、米国の金融引き締めが終わりに近づいているとの観測や、中国が内需拡大に重点を置き、経済への政策支援を強化すると約束したことなどから、以降は概ね8,400ドル~8,600ドルにレンジを切り上げた。7月末のLME銅価格は8,636ドル、7月平均のLME銅価格は8,445ドルとなった。
 7月のLME銅在庫量は、前月末対比で6.4%の増加となった。12日までは減少傾向で15,000トン強減少したが、以降は増加傾向となり、20,000トン近く増加した。特に終盤の増加が大きく、月末2日間で10,000トン弱増加。7月末のLME銅在庫量は、74,175トンとなった。
 7月の国内銅建値は、6月末同様の126万円/トンでスタートし、7日にマイナス2万円の124万円/トン、12日にマイナス2万円の122万円/トン、14日にプラス3万円の125万円/トン、19日にマイナス2万円の123万円/トン、25日にプラス3万円の126万円/トンとなり、7月平均の銅建値は、124.7万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2023年 2月:124.6万円/t 3月:123.9万円/t 4月:123.5万円/t 5月:118.2万円/t 6月:124.0万円/t 7月:124.7万円/t。
 2023年8月の国内銅建値は、7月末から5万円/トン上げの131万円/トンでスタート。



過去の銅事情