銅事情 6月号
2024年06月05日 資材委員会提供
<5月の国内事情>
内閣府が5月16日に発表した2024年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比マイナス0.5%となり、2四半期ぶりにマイナスとなった。これを年率換算するとマイナス2.0%。一部自動車メーカの認証不正問題に伴う生産・出荷停止などが影響し、個人消費と設備投資が押し下げられた。1~3月期はダイハツ工業と豊田自動織機の認証不正問題、能登半島地震、10~12月期に生じたサービス輸出急増の反動など、複数の特殊要因があった。GDPの過半を占める個人消費は前期比マイナス0.7%で4四半期連続のマイナス。もう一方の内需の柱である設備投資も前期比マイナス0.8%で2四半期ぶりのマイナスだった。自動車メーカの出荷停止が個人の買い替えや企業のトラック購入の制約となった。民間住宅投資は前期比マイナス2.5%で3四半期連続のマイナス。公共投資は前期比プラス3.1%で3四半期ぶりにプラスに転じた。尚、10~12月期の実質GDPは前期比プラス0.004%、年率換算でプラス0.01%に遡及改定され、23年度の実質GDP成長率は1.2%で3年連続のプラスとなった。個人消費が弱含んだものの、公共投資や設備投資がプラスに寄与した。名目GDP成長率は5.3%で1993年度の5.3%以来32年ぶりの高い伸びとなった。
国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比で3.6%の上昇。10~12月期の3.9%から上げ幅を縮小した。
現段階で24年4~6月期はプラス成長となる見通し。24年春闘における賃上げが徐々に実際の給与に反映され、6月の定額減税が消費者のマインドに追い風となることが期待されており、政府もデフレ完全脱却に向け、徐々に進展しているとの認識を示している。ただし、足元の為替市場の円安進行がコストプッシュ型インフレを再燃させ、家計の所得環境を悪化させかねないとの懸念も浮上している。
新藤経済財政相は談話で中国経済の先行き不透明感や中東情勢の不安定化に伴う資源価格の変動に注視する必要があると指摘。「為替の変動が輸入物価の上昇を通じて国内物価を押し上げるリスクなどに十分注意する必要がある」とした。1~3月期の成長率がマイナスだったことについては、「景気の動きによるものとは言えない各所の特殊要因の影響」と総括。力強い賃上げの流れを定着させるため「総合的な取り組みを進める」との考えも示し、6月の定額減税などにより、「家計所得の伸びが物価上昇を上回る状況を作り出し、消費を下支えしていく」と強調した。
<銅事情>
5月の銅価格は、投機マネーにより月中大きく増減したが、月末終値は4月末とほぼ変わらずとなった。但し、10,000ドル超の日が多く、月平均価格は、前月対比プラス650ドルで6.8%の上昇となった。ISM製造景況指数が市場予想を下回り、序盤こそ弱含んだものの、世界的な供給逼迫や電気自動車、電力網での消費拡大予測の他、インフレ懸念後退に伴う米利下げ期待から、10日~20日かけて1,100ドル超上昇した。特に20日は、供給不足の深刻化を見込んだ金融投資家が市場に殺到し、一時過去最高値を更新し た。しかし、以降は投資家の利益確定売りなどにより、月末までに800ドル超下落し、終わってみれば前月末並みの水準に落ち着いた。5月末のLME銅価格は9,985ドル、5月平均のLME銅価格は10,129ドルとなった。5月のLME銅在庫量は、前月末対比で1.2%の減少となった。前月末11万7千トン台から、10日までに1万4千トン強減少し、10万3千トン台となったが、13日以降は増加傾向で1万3千トン弱増加し、月間では1千トン強の減少に留まった。5月末のLME銅在庫量は、116,000トンとなった。
5月の国内銅建値は、4月末同様の156万円/トンでスタートし、10日にプラス2万円の158万円/トン、14日にプラス5万円の163万円/トン、17日にプラス2万円の165万円/トン、21日にプラス10万円の175万円/トン、23日にマイナス9万円の166万円/トン、29日にプラス3万円の169万円/トンとなり、5月平均の銅建値は、164.4万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2023年 12月:126.7万円/t 2024年 1月:126.5万円/t 2月:129.4万円/t 3月:134.2万円/t 4月:148.2万円/t 5月:164.4万円/t。
2024年6月の国内銅建値は、5月末からマイナス7万円の、162万円/トンでスタート。