市況動向

銅事情 7月号

2018年7月9日 資材委員会提供

<6月の国内事情>

 日銀が発表した6月短観の大企業製造業の業況判断DIは3月調査24ptから21ptとなり、2四半期連続で悪化した。業種別にみると、素材業種は2pt悪化の20pt、加工業種は3pt悪化の22ptだった。素材業種では、原油高など国際商品市況の上昇で原材料コストが増加し、石油・石炭製品、化学、非鉄金属などが悪化した。加工業種では輸出の勢いが弱まっていることを反映して、自動車、業務用機械、電気機械などが悪化した。一方、大企業非製造業の業況判断DIは3月調査23ptから24ptと1pt改善した。人件費などのコスト増加が下押し圧力となっている中で、インバウンド需要が好調な宿泊・飲食サービスは大きく改善し、値上げが浸透しつつある運輸・郵便なども改善した。
 3か月後の先行きについては、大企業製造業は21ptと横這いで、業種別にみると、素材業種は原材料コスト上昇の継続に対する警戒感から5pt悪化の15ptだったが、加工業種は足元の円安傾向から3pt改善の25ptだった。大企業非製造業は人手不足による人件費上昇への警戒感から3pt悪化の21ptだった。
 雇用人員判断DIは全規模全産業でマイナス32ptと3月調査から2pt改善したが、依然として人手不足は解消されておらず、全規模全産業の大きな課題となっている。
 一方、地政学リスクとされていた北朝鮮情勢は、6月12日に史上初の米朝首脳会談がシンガポールで行われ、トランプ大統領と金正恩委員長が北朝鮮の非核化に向けた共同声明文に署名し、地政学リスクは後退した。
 6月の為替相場は米国を中心とした貿易摩擦への懸念から109円台まで円は押し上げられたが、米朝首脳会談後は北朝鮮情勢安定への期待感から円売り、ドル買いが進み、110円台となった。その後は米中貿易摩擦激化でリスク回避の円買いが優勢となったが、米株高が円売りを誘い、6月末のNY円相場は110円60~70銭で取引を終了した。

<銅事情>

 LME注1銅相場は、チリ・エスコンディダ銅山での労使交渉難航による供給懸念から7,200ドル台まで一気に上昇し、2014年1月以来の高値圏に突入したが、中国経済の減速、米中貿易摩擦への懸念、原油価格の下落などから7,000ドルを下回ると、投資家のリスク回避から売り圧力が強まり、月末には6,600ドル台まで下落した。
 LME銅在庫量は30万トン前後で推移し、6月末の在庫量は29.5万だった。
 6月の国内銅建値はマイナス1万円の78万円/トンでスタートし、5日にプラス3万円の81万円/トン、7日にプラス3万円の84万円/トン、19日にマイナス3万円の81万円/トン、22日にマイナス2万円の79万円/トン、27日にマイナス1万円の78万円/トンと1ヶ月間で大きく変動し、6月の平均建値は81.0万円/トンだった。
 直近6か月の平均建値は、(2018年1月:82.5万円/t 2月:80.1万円/t 3月:76.5万円/t 4月:77.8万円/t 5月:79.7万円/t 6月:81.0万円/t)となり、2018年7月の国内銅建値は据え置きの78万円/トンでスタートした。

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

過去の銅事情