銅事情 10月号
2019年10月8日 資材委員会提供
<9月の国内事情>
日銀が発表した9月短観の大企業製造業の業況判断DIは5%ptで、3四半期連続での悪化となり、約6年ぶりの低水準となった。主要16業種のうち、11業種で悪化しており、米中貿易摩擦から海外経済が減速し、非鉄金属、石油・石炭製品、生産用機械など幅広い業種で影響を受けている。一方、大企業非製造業の業況判断DIは堅調な内需を背景に21%ptと依然として高水準ではあるが、2四半期ぶりの悪化となった。主要12業種のうち、7業種で悪化しており、夏場の天候不順や大型連休特需の反動から宿泊・飲食サービス、小売り、対個人サービスなどが影響を受けている。3か月後の先行きについては、大企業製造業で2%pt、大企業非製造業で15%ptとなっており、消費増税や円高の影響が懸念されている。雇用人員判断DIは、全規模全産業でマイナス32%ptと相変わらず人手不足感は強いが、製造業では3四半期連続で労働需給が改善している。厚生労働省が発表した8月の新規求人数も製造業は前年同月比15.9%減と7か月連続で前年を下回っており、世界経済が減速している影響が雇用指標にも表れてきている。
一方、経済への波及効果の大きい設備投資計画は、6月調査から製造業が1pt、非製造業が0.5pt下方修正されたものの、製造業が前年度比11.8%増、非製造業が前年度比3.6%増と引き続き高水準を維持している。特に、業種を問わず人手不足に対応した設備の自動化に向けた投資意欲は強く、景況感の悪化と設備投資計画は直結しにくい構造となってきている。
<銅事情>
9月のLME銅相場は米中貿易摩擦の先行き不透明感、経済成長見通しへの懸念を払拭出来ず、5,500ドル台まで下落したが、一転、米中対立の休戦ムードが拡がると米国株とアジア株が買われ、LME銅も5,900ドルの手前まで上昇した。その後、サウジアラビアの石油施設が攻撃を受けたことで、地政学リスクが高まり、安全資産に買いが集中した。また、ユーロ圏やドイツの経済指標の悪さから世界経済の減速懸念が再燃し、LME銅は一時5,700ドルを割り込んだが、月末に向けては一進一退で9月末のLME銅相場は5,714ドルだった。9月のLME銅在庫量は8月末の33万8,000トンから約7万トン減少し、9月末には26万6,000トンとなった。9月の国内銅建値は、2日に据え置きの64万円/トンでスタートし、5日にプラス1万円の65万円/トン、10日にプラス1万円の66万円/トン、13日にプラス1万円の67万円/トン、25日にマイナス1万円の66万円/トンとなり、9月の平均建値は65.8万円/トンだった。
直近6か月の平均建値は、(2019年4月:76.5万円/t 5月:70.9万円/t 6月:67.6万円/t 7月:68.8万円/t 8月:65.3万円/t 9月:65.8万円/t)となり、2019年10月の国内銅建値は据え置きの66万円/トンでスタートした。