銅事情 1月号
2023年01月11日 資材委員会提供
<12月の国内事情>
12月14日に日銀が発表した全国企業短期経済観測調査(短観)では、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が、大企業製造業でプラス7となり、前回9月調査(プラス8)から1ポイント悪化した。原材料価格の上昇が長期化して仕入れ価格が高騰していることなどが影響し、今回4半期連続での悪化となった。大企業非製造業はプラス19と前回から5ポイント上昇し、こちらは3期連続で改善。先行きについては、米中をはじめとした海外の景気減速懸念などが重しとなり、大企業製造業は1ポイント悪化のプラス6、非製造業は8ポイント悪化のプラス11を見込んでいる。
大企業製造業は、資源価格の高騰と円安で現在料の輸入価格が上昇したことに加え、市況の変動もあり、化学や石油・石炭製品など素材業種の悪化が目立ち、生産用機械や電気機械も下落した。一方で自動車などの加工業種の一部は、半導体不足などが和らいだことで生産が回復し、小幅に改善した。大企業非製造業は新型コロナ感染拡大を抑える水際対策緩和のほか、経済活動の回復、観光支援策の効果で、宿泊・飲食サービスや対個人サービス、小売業などの景況感が改善。小売業では価格転嫁の進展もDI上昇に寄与した。
価格判断DIは、大企業製造業でプラス66と前回から1ポイント上昇し、第2次石油ショックの影響が残る1980年5月以来の高水準。販売価格判断DIも5ポイント上昇のプラス41で1974年の調査開始以来最大。大企業非製造業については、仕入,販売価格とも判断DIが過去最大。
<銅事情>
12月の銅価格は、中国のコロナ政策や各国金融政策の動向を眺めながら、終値で8,200ドル台~8,500ドル台の狭いレンジで推移し、前月末比200ドル弱の上昇となった。初日、前月末並みの8,200ドル台となった後、中国が新型コロナウイルス対策を緩和するとともに、不動産業界への支援策を導入した事による景気回復期待から、8日には8,500ドル台となった。その後は、中国での新型コロナウイルスの感染拡大や、米欧の利上げペースに関する見込み等から、8,400ドルを挟んだ狭いレンジでの推移となり、12月末のLME銅価格は8,387ドル、12月平均のLME銅価格は8,367ドルとなった。12月のLME銅在庫量は、前月末対比0.3%の増加。初日、前月末比825トン減の8万7千トン台となった後、減少傾向。21日には8万1千トンまで減少したが、28日、29日の2日間で7千5百トン強増加し、前月末並みに戻した。12月末のLME銅在庫量は、88,550トンとなった。
12月の国内銅建値は、11月末からプラス3万円の119万円/トンでスタートし、8日にプラス1万円の120万円/トン、14日にマイナス1万円の119万円/トン、19日マイナス1万円の118万円/トン、21日にマイナス2万円の116万円/トンとなり、12月平均の銅建値は、118.5万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2022年 7月:108.6万円/t 8月:113.0万円/t 9月:115.9万円/t 10月:117.9万円/t 11月:120.2万円/t 12月:118.5万円/t。
2023年1月の国内銅建値は、12月末から2万円下げの114万円/トンでスタート。