市況動向

銅事情 5月号

2020年05月14日 資材委員会提供

<4月の国内事情>

 日銀が金融政策決定会合でまとめた経済・物価情勢の展望レポ―トにおいて、新型コロナウィルスの感染拡大の影響から景気の急速な悪化を反映し、2020年度の実質成長率は 【3.0% ~ 5.0%減】を見込むと発表した。
 2020年度の実質成長率は、新型コロナウィルスの世界的な感染拡大により、輸出や生産が大きく落ち込み、外出・営業の自粛による個人消費の冷え込みもあり、1月時点の見通しである【0.8%~1.1%増】のプラス成長の見通しから大幅に引き下げている。2021年度は、新型コロナウィルスの終息を見込み【2.8%~3.9%増】、2022年度は、【0.8%~1.6%増】といずれもプラス成長としたが、今後の新型コロナウィルスの拡大の影響次第では、下振れリスクが残るとみている。
 一方、消費者物価指数上昇率の見通しは、2020年度が【0.3% ~ 0.7%減】と従来のプラス1%程度の予測から一転してマイナスを見込む。また2021年度も【0.0%~0.7%増】と従来予測より引き下げ、今回新たに示した2022年度も【0.4%~1.0%増】にとどまる見通しと予測している。その結果、黒田日銀総裁の目標としてきた2%の物価上昇率の実現は、難しい見通しとなっている。なお、今回の見通しにおいては、感染症拡大の影響が、世界的に見て、本年後半にかけて和らいでいくことを想定しており、その前提には、大きな不確実性があるとしている。

<銅事情>

 4月の銅相場は、新型コロナウィルスの感染鈍化や、株式、原油市場の改善に伴い、堅調に上昇した。月初4,700ドル台でスタート後、中国武漢市が2ヵ月半振りに移動制限を解除、欧州の国々でも都市封鎖緩和を計画していることなどが好感され、7日には5,000ドル超、14日には5,100ドル超となった。21日に一旦5,000ドルを割り込むものの、その後は堅調に推移し、4月末のLME銅相場は5,231ドル、4月平均のLME銅相場は5,048ドルとなった。
 4月のLME銅在庫量は、月初の22万トンから減少傾向であったが、7日に4万トン強増加し、約26万トンとなった。しかし21日以降は再び減少に転じ、4月末のLME銅在庫量は25万1,000トンとなった。
 4月の国内銅建値は、1日にマイナス1万円の57万円/トンでスタートし、8日にプラス1万円の58万円/トン、15日にプラス1万円の59万円/トン、20日にプラス1万円の60万円/トン、23日にマイナス1万円の59万円/トンとなり、4月平均の銅建値は58.4万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2019年 11月:68.1万円/t 12月:70.5万円/t 2020年 1月:70.6万円/t 2月:66.7万円/t 3月:60.6万円/t 4月:58.4万円/t。
 2020年5月の国内銅建値は、4月末と変わらずの59万円/トンでスタートした。


過去の銅事情