市況動向

銅事情 9月号

2019年9月9日 資材委員会提供

<8月の国内事情>

 内閣府は2019年4-6月期の実質GDP速報値を前期比0.4%増(年率換算1.8%増)と発表し、2018年10-12月期から3四半期連続でのプラス成長となった。内外需別の寄与度は、内需が前期比0.7%増と3四半期連続でのプラス寄与となったが、外需は前期比0.3%減と2四半期ぶりにマイナス寄与となった。需要項目別の動向は、内需では大型連休に伴うレジャー関連支出が伸びたことに加え、エアコン、テレビなどの耐久財の購入も堅調で個人消費が前期比0.6%増となった。また、設備投資も増加基調が続き、前期比1.5%増となった。一方、外需は海外経済減速の影響から輸出が2四半期連続でマイナスとなり、米中貿易摩擦の激化により回復への期待は厳しい状況が続いている。
 そうした中、安倍政権は半導体材料の輸出管理厳格化に続き、輸出管理優遇対象国リスト(ホワイト国)から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。徴用工訴訟、慰安婦問題などへの韓国政府の対応が原因となっているが、日韓関係の悪化は韓国国内での日本製品不買運動、韓国人観光客の減少など国内経済にもマイナスの影響が出始めている。また、韓国政府が日本政府の輸出規制強化への対抗措置として、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定したことで、日韓政府の対立は泥沼化の様相を呈している。

<銅事情>

 8月のLME銅相場は再開した米中閣僚級貿易協議への期待感から6,000ドルを試す展開と思われたが、対中関税「第4弾」を9月に発動するとトランプ大統領が表明したことで、失望売りが広がり、二日間で200ドル超の大幅下落となった。その後は、進展しない米中貿易協議やFOMC(米連邦公開市場委員会)による追加利下げの動きから投資家心理は冷え込み、株や原油などのリスク資産も売られた。LME銅相場は米中貿易協議、中国金利政策、需要動向などでの一進一退はあったが、全般的に強材料は乏しく、5,600~5,700ドル台で推移し、8月平均のLME銅相場は7月平均から約3.8%下落し、5,718ドルだった。
 8月のLME銅在庫量は一時27万台まで減少したが、2日間で6万トン増加した後は月末まで33万トン台で推移し、8月末のLME銅在庫量は33万8,000トンとなった。
 8月の国内銅建値は、1日に据え置きの69万円/トンでスタートし、5日にマイナス4万円の65万円/トン、14日にプラス1万円の66万円/トン、19日にマイナス1万円の65万円/トン、26日にマイナス1万円の64万円/トンとなり、8月の平均建値は65.3万円/トンだった。
 直近6か月の平均建値は、(2019年3月:75.9万円/t 4月:76.5万円/t 5月:70.9万円/t 6月:67.6万円/t 7月:68.8万円/t 8月:65.3万円/t)となり、2019年9月の国内銅建値は据え置きの64万円/トンでスタートした。


過去の銅事情