銅事情 8月号
2025年08月07日 資材委員会提供
<7月の国内事情>
日銀は7月30日、7月31日に開催した金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.5%で据え置くことを全員一致で決定した。公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、実質国内総生産(GDP)の政策委員見通しの中央値は、25年度を前回4月時点の見通しプラス0.5%からプラス0.6%に引き上げたが、26年度はプラス0.7%、27年度はプラス1.0%で4月時点から維持した。
経済の展望は、輸出や生産は海外経済の減速を背景に弱めの動きで、こうした動きを受けて、企業収益も高水準ながら減少。設備投資は緩和的な金融環境が下支え要因として作用するなかで、人手不足対応やデジタル関連、成長分野・脱炭素化関連の研究開発投資、サプライチェーンの強靭化に向けた投資は継続されると見込まれるが、海外経済減速の影響を受けて伸び率は鈍化すると見込む。雇用・所得環境は追加的な労働供給が見込みにくくなってくるもとで、労働需給が引き締まった状態が続き、名目賃金は高い伸び率を幾分鈍化させつつも、増加を続ける可能性が高い。個人消費は物価上昇の影響で、当面は横ばいも、所得の増加が続くことから、次第に緩やかな増加基調に復していくと見られる。その後については海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくと見込まれる。こうした見通しは、前回4月のレポートから概ね不変である。経済の見通しを巡るリスクバランスを見てみると、25年度と26年度は下振れリスクが大きいとしている。
物価の展望については、消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)の政策委員見通しの中央値の前年比で、25年度がプラス2.7%で、前回4月の2.2%から大幅に引き上げた。その後は、26年度がプラス1.8%、27年度がプラス2.0%で、それぞれ0.1%引き上げ。この間、消費者物価の基調的な上昇率は成長ペースの鈍化などの影響を受けて伸び悩むが、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持されると指摘。その後は成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上がっていくことから、基調的な物価上昇率は徐々に高まっていくと予想し、見通し期間の後半では2%の「物価安定目標」と概ね整合的な水準で推移するとの表現を維持した。前回は25年度、26年度ともに下振れリスクが大きいとしていた物価の見通しを巡るリスクバランスは、今回は概ね上下にバランスしているとした。米などの食料品の価格上昇について、消費者物価の押し上げ寄与は次第に縮小していくと想定しているものの、最近の価格上昇には人件費や物流費を転嫁する動きも相応に影響しており、企業の賃金・価格設定行動次第では、価格上昇が想定以上に長引く可能性もあると指摘。価格上昇が想定以上に長期化すれば、家計のコンフィデンスや予想物価上昇率の変化を介して、基調的な物価上昇率に二次的な影響を及ぼしうる点にも留意が必要であるとした。
今回の展望リポートも、前回に引続き、見通し作成の前提が説明された。リスク要因は様々あるものの、特に各国の通商政策などの今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性は高い状況が続いており、金融・為替市場や日本経済・物価への影響について、十分注視する必要が有ると指摘。今回の中心的な見通しは、これまでの各国間の交渉状況を踏まえているほか、今後、グローバルサプライチェーンが大きく毀損される状況は回避されることなどを前提にしている。今後の各国の政策の帰趨やそれを受けた各国の企業・家計の対応次第で、経済・物価見通しが大きく変化しうる点に注意が必要だとも指摘した。
<銅事情>
7月の銅価格は、6月末の10,000ドル超から、9,600ドル程度まで下落。米国がBRICS諸国に対し、反米政策に同調する国々へ10%の追加関税を課すと表明した事や、LME指定在庫の増加等で下落基調のところ、トランプ米大統領が銅の輸入に50%の関税を課す方針を示すと、9日には300ドル近く下落し、月中旬までに500ドル弱値を下げた。その後は、中国でのスクラップ不足による需要増期待、関税協議の先行き不安払しょくなどで、上昇基調に転じたが、米国での利下げ観測の後退によりドルが堅調になると、24日以降は再び下落基調となった。7月末のLME銅価格は9,606ドル、7月平均のLME銅価格は9,778ドルとなった。7月のLME銅在庫量は、5万トン超の大幅増加。6月末の9万トン台から、毎週在庫が積み上がったが、第2週、第3週、第5週では、それぞれ1.2万トン以上の大幅増となった。7月末のLME銅在庫量は141,750トンで、前月末対比プラス55.3%となった。
7月の国内銅建値は、6月末からプラス2万円の150万円/トンでスタートし、7日にマイナス1万円の149万円/トン、10日にマイナス2万円の147万円/トン、16日にプラス1万円の148万円/トン、22日にプラス2万円の150万円/トン、25日にマイナス1万円の149万円/トンとなり、7月平均の銅建値は、148.8万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2025年 2月:145.6万円/t 3月:149.6万円/t 4月:137.6万円/t 5月:143.4万円/t 6月:146.3万円/t 7月:148.8万円/t
2025年8月の国内銅建値は、7月末から変わらず、149万円/トンでスタート。