銅事情 5月号
2026年05月11日 資材委員会提供
<4月の国内事情>
日銀は4月27日~28日に金融政策決定会合を開催し、12月に上げた政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.75%で据え置くことした。据え置きへの反対票は3票で前回の8対1から反対票が増加している。反対票を投じた3名の審議委員は、物価の上振れリスクが高いとして利上げを主張。日銀内部でインフレへの警戒感が強まりつつある。今回公表された「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、経済の展望について、実質国内総生産(GDP)の政策委員見通しの中央値を、25年度をプラス0.9%から1.0%に、26年度をプラス1.0%から0.5%に、27年度をプラス0.8%から0.7%に修正。26年度と27年度を引き下げている。尚、今回新たに見通し期間に加わった28年度はプラス0.8%だった。26年度については、中東情勢の影響を受けた原油価格の上昇が、交易条件の悪化などを通じて企業収益や家計の実質所得に対する下押し要因となることから、成長ペースが減速するとしているが、企業部門で高水準の収益が継続してきたことなどに加え、政府の各種施策や緩和的な金融環境などが経済を下支えするため、伸び率を縮小しつつも緩やかな成長は続くとし、27年度以降は、原油高のマイナス影響が減衰し、所得から支出への前向きな循環メカニズムが徐々に強まり、成長率を緩やかに高めていくとしている。前回「概ね上下にバランスしている」としていたリスクバランスは、「下振れリスクが大きい」に変わった。
物価の展望について、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は、見通し期間である25年度がプラス2.7%で前回から据え置いたが、26年度はプラス1.9%から2.8%に、27年度もプラス2.0%から2.3%に引き上げ、新たに公表した28年度は2.0%とした。賃金上昇を販売価格に転嫁する動きが続くもとで、原油価格上昇が、エネルギー価格や財価格を中心に押上げ方向に作用することから、26、27年度が上方修正されている。この間、人手不足感の強い状況は継続し、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、中長期的な予想物価上昇率は上昇していくと見込んだ。こうしたもとで、消費者物価の基調的な上昇率は徐々に高まり、26年度後半から27年度にかけて、2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準となり、その後も同程度で推移するとした。リスクバランスについては、「概ね上下にバランスしている」との前回の表現から「上振れリスクが大きい」に変わっている。
金融政策運営については、基調的な物価上昇率が2%に近づいているなか、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、経済・物価・金融情勢に応じて引続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくとし、そのうえで、調整のタイミングやペースについては、中東情勢の展開が経済・物価に及ぼす影響を注視したうえで、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら検討していく方針。植田総裁は記者会見で、景気悪化に伴う物価の下振れリスクに触れつつも、総じて上振れリスクが大きいとの見解を示し、金融政策が後手に回ることがないよう、「景気の下振れや大きな景気調整が生じるリスクがある程度抑制されている場合には、利上げに至る可能性はあり得る」と述べた。
<銅事情>
4月の銅価格は、月間で855ドルの上昇。前月末の12,160ドルから、上昇方向の値動きとなったが下旬で多少値を下げた。中旬までは米国・イランの停戦、和平交渉による戦争終結への期待感および中国による硫酸の輸出禁止措置によりチリのSXEW法による銅生産が脅かされる可能性から上昇。下旬はトランプ大統領がイランとの停戦を発表したもののイランの砲艦が要衝ホルムズ海峡付近で船舶に発泡するなど不透明な状況が材料視された。4月末のLME銅価格は13,015.5ドルとなった。4月のLME銅在庫量は、前月末の360,000トン台から中旬まで積み上がり、その後調整が入り最終的に37,000トン強の増となった。4月末のLME銅在庫量は399,725トンで、前月末対比プラス10.2%となった。米国・イランの情勢が不透明であることから市場はリスクオフで月末を迎える形となった。
4月の国内銅建値は、3月末同様の204万円/トンでスタートし、7日にプラス1万円の205万円/トン、9日にプラス4万円の209万円/トン、13日にプラス5万円の214万円/トン、15日にプラス6万円の220万円/トン、20日にプラス1万円の221万円/トン、22日にマイナス3万円の218万円/トン、23日にプラス5万円の223万円/トンとなり、4月平均の銅建値は、214万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2025年 11月:172.6万円/t 12月:186.6万円/t 2026年 1月:213.0万円/t 2月:209.8万円/t 3月:209.0万円/t 4月:223.2万円/t
2026年5月の国内銅建値は、4月末よりマイナス5万円の218万円/トンでスタート。