市況動向

銅事情 2月号

2016年2月16日 資材委員会提供

<1月の国内事情>

 内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、1月の現状判断DIは、家計動向・企業動向・雇用動向それぞれでDI指数が下落したことから前月比2.1ポイント低下の46.6ポイントとなった。また、1月の先行き判断DIは、家計動向関連DI及び企業動向関連DIは上昇した一方で、雇用関連DIは低下したことにより前月比1.3ポイント上昇の49.5ポイントとなった。なお、季節調整値でみると、現状判断DIは前月比2.0ポイント低下の48.5ポイントとなり、先行き判断DIは前月比1.7ポイント低下の49.4ポイントとなった。以上のことから、「景気は、中国経済に係る動向の影響等がみられるが、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、観光需要や受注増加への期待がみられるが、中国経済や株価等の動向、先行き判断DIが2か月連続の下落となったこともあり、懸念要因がマインドの基調に与える影響に留意する必要がある」とまとめられた。また、日本電線工業会発表「2015年(暦年)銅電線出荷量」によると全体では速報値で対前年比2.9%減の70万7,348トン(銅量)の実績と発表した。部門別には最大需要部門である建設電販部門で、首都圏での大型工事の時期が後ろにずれ込んだことから対前年1.3%減の33万9,437トンのマイナス成長となった。続く需要分野である電機部門でも対前年比5.5%減の15万2,380トンと低調な状態が続いた。一方、電力部門では電力会社の設備投資が改善したことにより対前年比7.2%増と唯一プラス成長となった。

 

<銅事情>

 1月に入って注1銅相場は、前月の4,700ドルを挟んでの攻防状態から、月の前半に2度にわたる中国・上海株の急落と中国当局によるサーキットブレーカー発動での取引の打ち切りにより、金融市場に不安を増幅させ軟調推移となった。中国の景気に不透明感が蔓延したことにより、リスク資産としての非鉄相場は売り地合となった。原油相場は2003年9月以来の安値水準とり、銅相場は約6年8ケ月ぶりの4,400ドルを下回る安値を更新した。月終盤には中国政府での経済景気刺激策の実施期待や欧州中央銀行のドラギ総裁が追加金融緩和を示唆したこと、FOMC(米連邦公開市場委員会)開催後にドル安が進んだこと等のポジティブ要因から4,500ドル台に戻して月を終えた。一方、LME在庫は前月から引き続き23万トン台での低位水準を継続するも、最終日3日には24万トン台に乗せることとなった。2016年1月の国内銅相場は、前月末の62万円/トンから月初4日にマイナス1万円の61万円/トンでのスタート、7日にマイナス2万円の59万円/トンへ、13日にはマイナス3万円の56万円/トンとなった。18日にマイナス1万円の55万円/トンへ、一転22日にはプラス2万円の57万円/トンへ、27日にはプラス1万円の58万円/トンとした。2月からは、1日よりプラス2万円の60万円/トン、4日には59万円/トン、9日には58万円/トン、15日には55万円/トンし現在に至る。
 2016年1月平均建値は57.5万円/トンとし前月と比べ3.5万円/トンのマイナスとなった。直近6か月の平均建値(2015年: 8月:67.9万/トン 9月:68.0万/トン 10月:67.7万/トン 11月:63.8万/トン 12月:61.0万/トン 2016年: 1月:57.5万/トン)

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

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