市況動向

銅事情 5月号

2018年5月7日 資材委員会提供

<4月の国内事情>

 日銀は経済・物価情勢の展望レポートで、2018年度実質GDPの成長率見通しを前年度比+1.6%とし、海外経済が着実な成長を続ける中で、国内需要も緩和的な金融環境や政府支出による下支えを背景に潜在成長率(0%台後半)を上回る成長を続ける見込みとしている。具体的には、景気拡大に伴う能力増強投資、オリンピック関連投資、人手不足に対応した省力化投資など設備投資の増加、雇用・所得環境の改善に伴う個人消費の増加などから緩やかな景気拡大が続いているとしている。
 2019年度以降については、設備投資の循環的な減速や消費税率の引き上げの影響で成長率は鈍化するが、堅調な外需に支えられて景気の拡大基調は続き、成長率見通しは2019年度、2020年度ともに+0.8%と予測している。海外経済の動向が大きなリスク要因であり、特に米中貿易摩擦が激化し、保護主義的な政策の応酬になると世界景気を圧迫することとなり、国内経済も下振れする可能性が潜んでいるとしている。
 一方、地政学リスクとされていた北朝鮮情勢は、3月末の中朝首脳会談に続き、4月27日には南北首脳会談が実現し、朝鮮半島の完全な非核化、朝鮮戦争の終戦宣言を表明する「板門店宣言」に文在寅大統領、金正恩委員長が署名し、東アジアの地政学リスクは大きく後退した。
 為替相場は、米長期金利が上昇したことで日米金利差の拡大を背景に円売り、ドル買いが進み、4月末のNY円相場は1ドル=109円00~10銭で取引を終えた。
 日経平均株価は米株高と円安を反映して徐々に上昇し、4月終値は22,467円となり、3月終値21,454円から1,013円(4.7%)上昇した。

<銅事情>

 LME注1銅相場は、米中貿易摩擦への警戒感とシリア情勢の緊迫化から、一気に6,900ドル台まで上昇したが、貿易摩擦、地政学リスクが後退したことで、LME銅相場も6,700ドル台まで反落した。その後は、ロシアのUCルサールに対する米国の追加制裁措置によりアルミが急騰、アルミに牽引されて銅相場も再び上昇し、更にチリ・エスコンディダ銅山での労使交渉が進展しないことが銅相場の支援材料となり、7,000ドルの上値を試す展開となったが、米長期金利上昇によるドル高が相場を下押しし、月末には6,800ドル台まで反落した。
 LME銅在庫量は38万3,000トンから徐々に減少し、4月末の在庫量は34万2,000トンだった。
 国内銅建値はプラス2万円の76万円/トンでスタートし、6日にプラス1万円の77万円/トン、11日にプラス2万円の79万円/トン、13日にマイナス2万円の77万円/トン、19日にプラス2万円の79万円/トン、25日にプラス1万円の80万円/トンとなり、4月の平均建値は77.8万円/トンだった。
 直近6か月の平均建値は、(2017年11月:81.3万円/t 12月:81.0万円/t 1月:82.5万円/t 2月:80.1万円/t 3月:76.5万円/t 4月:77.8万円/t)となり、2018年5月の国内銅建値はマイナス1万円の79万円/トンでスタートした。

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

過去の銅事情