銅事情 3月号
2018年3月5日 資材委員会提供
<2月の国内事情>
内閣府が発表した2017年10-12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.1%増(年率0.5%増)で、バブル期以来の8四半期連続のプラス成長となった。成長率は7-9月期0.6%増から大きく鈍化したものの、個人消費の持ち直しや輸出の加速、設備投資の増勢維持にみられるように堅調な景気回復が牽引したものと思われる。2018年1-3月期以降も、海外経済の回復や堅調な内需を受け、景気の拡大は続くものと思われるが、足元でみられるような世界的な金融市場の変動が長期化すれば、株価下落に伴う逆資産効果での個人消費の落ち込み、市場の急変動に伴う先行き不透明感の高まりなど経済が下押しされるリスクも潜在化している。
また、日本経済新聞によると国内上場企業の2017年4-12月期決算は幅広い業種において好調で、2018年3月期通期見通しも上方修正する企業が相次いでおり、世界的な景気回復を背景に電機、自動車、化学、商社などの業種がけん引して、2018年3月期の純利益合計は過去最高を更新する見通しとしている。
為替相場は、世界的な株安から運用リスクを避ける形で円買いが進行し、1月終値は109円19銭だったが、106~107円台まで円高が進み、2月終値は106円68銭だった。
日経平均株価は、米国株急落に伴い、1月終値23,098円から一気に21,000円台まで下落し、更に円高進行から輸出関連株を中心に売られたことで、一時は21,000円を下回ったが、その後は方向感の定まらない相場展開が続き、2月終値は22,068円だった。
<銅事情>
LME注1銅相場は米ダウ工業株30種平均が過去最大の下げ幅を記録し、世界同時株安の流れから世界的にリスク回避ムードが強まり、一時は6,700ドル台まで下落した。昨年12月中旬以来約2カ月ぶりの安値圏となり、下値を試す展開となったが、その後は堅調なアジア市場、ドル安、世界的な株価回復に追随してLME銅相場は続伸し、7,000ドルを回復して2月を終了した。LME銅在庫量は2月初めに30万トン前後で推移していたが、対ユーロ、ポンドでドル高が続き、LME銅相場の下落に伴い、在庫量は33万トン台まで増加した。その後は、中国旧正月での市場休場もあり、在庫量に大きな変動はなく、月末まで33万トン台で推移した。
国内銅建値は据え置きの81万円/トンでスタートし、6日にプラス1万円の82万円/トン、8日にマイナス3万円の79万円/トン、15日にプラス1万円の80万円/トンとなり、2月の平均建値は80.1万円/トンだった。
直近6か月の平均建値は、(2017年9月:77.3万円/トン 10月:81.2万円/トン 11月:81.3万円/トン 12月:81.0万円/トン 1月:82.5万円/トン 2月:80.1万円/トン)となり、2018年3月の国内銅建値はマイナス2万円の78万円/トンでスタートした。
注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)