市況動向

銅事情 6月号

2020年06月09日 資材委員会提供

<5月の国内事情>

 内閣府が発表した2020年1~3月期の実質GDP成長率(2次速報)は前期比年率2.2%減(前期比、0.6%減)とし、1次速報値の前期比年率3.4%減からマイナス幅が縮小した。実質GDP成長率が上方修正された主な要因は、法人企業統計の結果を受けて民間設備投資が、1次速報値の前期比0.5%減から同1.9%増に修正されたことが最大の要因となっている。
 なお、民間設備投資が上方修正された理由としては、再開発や街づくりなど計画に基づく投資、倉庫などの物流関係、ソフトウェア投資が底堅い為。
 また、生活実感に近い名目GDPは、前期比0.5%減、年率では1.9%減となった。
 需要項目別の動向については、個人消費は、0.8%減、住宅投資は4.2%減、設備投資は1.9%増、公共投資は、0.6%減となっている。
 また、4月以降の経済指標や業界統計結果などから、新型コロナウィルスの影響が表れる4~6月期の実質GDPは、記録的な落ち込みになるという見方が多い。
 さらに、厳しい活動自粛が要請された緊急事態宣言は5月末には全面解除されたものの、感染再拡大のリスクは高く、一定の感染症対策が引き続き求められていることからも,景気の本格回復には、相当の時間を要するとの意見が強い。

<銅事情>

 5月の銅相場は、前月から大きく下げてスタートも、景気回復期待から、徐々に盛り返した。月初5,000ドル台でスタートしたが、世界各国でロックダウンを緩和する動きが出てきたことから、連休明けには5,200ドル台に回復。19日には、新型コロナウイルスのワクチン候補に関する良好な試験結果をうけて、5,300ドル台に上伸。その後、中国全人代で目立った経済対策が見られなかったことや、香港に対する国家安全法が提出されたことで、22日に一旦下げるものの、以降は5,300ドルを挟んで堅調に推移し、5月末のLME銅相場は5,333ドル、5月平均のLME銅相場は5,234ドルとなった。
 5月のLME銅在庫量は、月初の25万トンから連休中に20万トンまで減少したが、その後は増加。しかし、13日の28万トン以降は再び減少に転じ、5月末のLME銅在庫量は25万6,000トンとなった。
 5月の国内銅建値は、7日に4月末と変わらずの59万円/トンでスタートし、12日にプラス2万円の61万円/トン、15日にマイナス1万円の60万円/トン、20日にプラス1万円の61万円/トンとなり、5月平均の銅建値は60.5万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2019年 12月:70.5万円/t 2020年 1月:70.6万円/t 2月:66.7万円/t 3月:60.6万円/t 4月:58.4万円/t 5月:60.5万円。
 2020年6月の国内銅建値は、5月末から1万円上げの62万円/トンでスタート。


過去の銅事情