市況動向

銅事情 6月号

2017年6月7日 資材委員会提供

<5月の国内事情>

 内閣府が公表した2017年1-3月期のGDP成長率(1次速報値)は実質0.5%(年率2.2%)と5四半期連続でのプラス成長となり、寄与度は内需0.4%、外需0.1%と内外需ともプラスに寄与した。
 需要項目別にみると、内需は消費者マインドの改善などを背景に個人消費の増勢が加速したことに加え、住宅投資も東京五輪関連施設、都心部での再開発案件の着工を受けて増加している。一方、外需では新興国での高機能・高速通信スマートフォンの需要拡大から世界のIT需要が急増し、中国をはじめとするアジア向け電子部品・デバイスの輸出が増加している。先行きについては、トランプ米大統領の政権運営など海外の政治・経済動向に不透明感は残るものの、景気の回復基調は続く見込みとし、2017年度の経済成長率を+1%台後半と予測している。
 北朝鮮情勢は3週連続でミサイル発射実験を行うなど、トランプ大統領や文在寅大統領が対話路線を探る中での挑発行為に警戒感が強まっており、地政学リスクが改めて意識されることとなった。
 金融情勢は、米金利の先高観を背景に円売りドル買いの動きが加速し、一時は114円台まで円安に振れ、日経平均株価も19,998円と今年の最高値を更新した。その後、米大統領選へのロシア政府の干渉疑惑を捜査していたFBIのコーミー長官がトランプ大統領に解任され、大統領自身にもロシアへの機密情報漏洩疑惑が浮上したことで、トランプ政権の経済政策に遅れが生じるとの見方から円買いドル売りが加速し、5月末には110円台まで円高が進んでいる。


<銅事情>

 5月に入り、LME注1銅相場は4月末の5,688ドルから一時は5,400ドル台まで後退したが、仏大統領選で親EUを掲げる中道系候補のマクロン氏が勝利し、欧州の政治リスクが緩和され、更にサウジアラビア・ロシアが協調減産の9ヶ月延長を支持したことで原油相場は急伸、同時に非鉄相場も反発し、月末には5,608ドルまで回復した。
 LME在庫量は、4月末の26.1万トンから一気に35万トン台まで増加したが、その後は徐々に減少し、5月末のLME在庫量は4月末に比べ5.8万トン増加の31.9万トンとなった。
 2017年5月の国内銅相場は、GW明け67万円/トンでスタートし、19日にマイナス1万円の66万円/トン、24日にプラス2万円の68万円/トン、29日にはマイナス1万円の67万円/トンとなった。5月の平均建値は67.1万円/トンとなり、4月と比較して0.2万円/トンの上げとなった。
 直近6か月の平均建値は、(2016年12月:70.5万/トン 2017年1月:69.9万/トン 2月:71.2万/トン 3月:70.3万/トン 4月:66.9万/トン 5月:67.1万/トン)となり、6月の国内銅相場は据置の67万円/トンでスタートした。

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

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