銅事情 8月号
2015年8月17日 資材委員会提供
<7月の国内事情>
内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、7月の現状判断DIは家計動向関連DI、企業動向関連DI、雇用関連DIのそれぞれで上昇したことから、前月比0.6ポイント上昇の51.6ポイントとなった。また、先行き判断DIは、家計動向関連DI、企業動向関連DI及び雇用関連DIでの低下により、前月比1.6ポイント低下の51.9ポイントとなった。以上のことから、「景気は、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、物価上昇への懸念等がみられるものの、観光需要、プレミアム付商品券への期待等がみられる」とまとめられた。また日本電線工業会発表「2015年度上期(1−6月期)銅電線出荷量速報値」によると、全体では対前年同期比で2.4%減の35万205トンと発表された。需要部門別には電力部門が対前年同期比で111.7%と持ち直したものの主力需要部門の建設・電販部門が98.9%、電機部門が95.5%と微減、自動車部門、電機部門、その他内需部門、輸出部門はともに90%前半での落ち込みとなった。一方2015年下期の銅電線需要予測は緩やかながら回復に向かうとの見通しとした。
また為替相場は、ギリシア問題における、ユーロ安ドル高を受けてのドル高基調での推移とFRBイエレン議長による年内の利上げを示唆したことからドル高進行となり、7月前半の123円台から中盤より124円台から125円へのドル高相場となった。
<銅事情>
7月のLME注1銅相場は、序盤はギリシア債務交渉の合意期待や米経済指数の上昇を背景に5,700ドルを下値抵抗線としながら堅調な推移を示すも、その後ギリシア債務問題に関しての国民投票の結果や中国株価下落継続に伴って約半数の銘柄が取引停止になったことから投機商品の利益確定売りが先行し銅相場の下げ加速につながった。その後もイエレンFRB議長の年内での利上げ示唆によるドル高進行やゴールドマンサックスの銅相場予想が大幅に下方修正されたことが相場の大きな重しとなり、一時は2009年7月以来6年ぶりの5,200ドル前後の安値を示した。今後も銅の最大需要国である中国での経済指数が銅相場に大きな影響を与えるものと思われる。またLME在庫は、前月の31万トン前後(4ヶ月ぶりの低水位)から7月に入ってからは、増加基調で7月末には34万トン台中盤までの積み上げを示した。
2015年7月の国内銅相場は、前月末の76万円/トンから1日にマイナス1万円の75万円/トンでのスタート、その後7日にはマイナス2万円の73万円/トンへ、21日にはマイナス1万円の72万円/トンへ、更に24日にはマイナス2万円の70万円/トンとなった。8月からは、3日よりマイナス1万円の69万円/トン、11日には71万円/トン、14日には69万円/トンとして現在に至る。
2015年7月平均建値は72.4万円/トンで前月と比べ4.6万円/トンのマイナスとなった。直近6か月の平均建値(2015年: 2月:72.4万/トン 3月:76.3万/トン 4月:76.6万/トン 5月:81.1万/トン 6月:77.0万/トン 7月:72.4万/トン)
注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)