銅事情 7月号
2019年7月8日 資材委員会提供
<6月の国内事情>
日銀が発表した6月短観の大企業製造業の業況判断DIは3月調査から5pt悪化し、7%ptとなり、2四半期連続での悪化となった。業種別にみると、素材業種は1ptの改善となったが、加工業種は6ptの悪化となり、特に金属製品は19pt、生産用機械は14pt、自動車は10ptと米中貿易戦争の影響を受け、外需依存型産業は大きな悪化となった。一方、大企業非製造業の業況判断DIは市場予想では悪化が見込まれていたが、元号改正に伴う大型連休もあり、小売や宿泊・飲食サービスなどが牽引したことで、3月調査から2pt改善し、23%ptとなった。全規模全産業の業況判断DIは3月調査から2pt悪化の10%ptとなり、月末の米中首脳会談では対中追加関税の先送りや貿易協議の再開で合意したものの、中国経済悪化の影響が国内景気に波及しているものと思われる。3カ月後の先行きについては、大企業製造業は7%ptで横這い、大企業非製造業は17%ptで6pt悪化、全規模全産業では4%ptで6pt悪化が予想されている。
6月の為替相場は、米トランプ政権の通商政策と世界経済の悪化懸念から低リスク通貨とされる円は買われ、108円台で推移していたが、イランをめぐる中東の地政学リスクが支援材料となり、円は107円台まで買われた。G20大阪サミットに向けて米中貿易協議への楽観的な見方が広まると、リスク回避姿勢は後退し、月末には1ドル108円台まで円は売られた。
<銅事情>
6月のLME銅相場は世界経済の悪化、需要減速懸念から、5月末より42ドル安の5,780ドルで始まったが、米中貿易協議が膠着状態となり、銅相場も一進一退の展開となった。中国の景気刺激策による銅需要の伸びが期待されると、銅相場は5,904ドルまで上昇したが、中国経済指標の弱さを反映して二日間で5,797ドルまで下落した。その後、チリ・チュキカマタ銅山での労使交渉決裂、ザンビア・ムフリア銅精錬所閉鎖の情報が流れると、銅の供給懸念が浮上し、更にG20大阪サミットに合わせた米中貿易協議進展への期待感から投資家心理が改善したことで、銅相場は5,961ドルまで続伸した。米国とイランの軍事的緊張が高まると銅相場は反落したが、チュキカマタ銅山での労使交渉が難航し、供給懸念の高まりから銅は買われ、1カ月ぶりに6,000ドル台を回復し、6月平均のLME銅相場は5,864ドルとなった。6月のLME銅在庫量は21万トン台で推移していたが、二日間で4万1,000トン増加し、25万2,000トンとなり、その後は連日減少し、6月末の銅在庫量は24万1,000トンとなった。
6月の国内銅建値は、3日にマイナス3万円の67万円/トンでスタートし、11日にプラス1万円の68万円/トン、17日にマイナス1万円の67万円/トン、20日にプラス1万円の68万円/トン、26日にプラス1万円の69万円/トンとなり、6月の平均建値は67.6万円/トンだった。
直近6か月の平均建値は、(2019年1月:69.2万円/t 2月:73.4万円/t 3月:75.9万円/t 4月:76.5万円/t 5月:70.9万円/t 6月:67.6万円/t)となり、2019年7月の国内銅建値はプラス1万円の70万円/トンでスタートした。