市況動向

銅事情 3月号

2019年3月18日 資材委員会提供

<2月の国内事情>

 内閣府が発表した2018年10-12月期の国内総生産(GDP)2次速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.5%増(年率換算で1.9%増)、内外需別の寄与度は、内需プラス0.8%、外需マイナス0.3%だった。内需は2018年夏の自然災害による個人消費の落ち込みが解消されたことに加え、半導体関連や自動車電子部品関連の設備投資が堅調だったことで、成長率を押し上げた。外需は中国経済の鈍化により輸出が伸び悩んだことと、堅調な内需を背景に輸入が増加したことで、輸入が輸出を上回り、成長率を押し下げた。
 また、内閣府が発表した景気動向指数(1月速報)は、2018年9月から続いていた「足踏み」状態から、景気後退の可能性を示唆する「下方への局面変化」となり、輸出や生産の減速を反映しているものと思われる。一方、雇用環境は有効求人倍率が1.63倍と依然として人手不足が続いており、2018年10-12月期の実質雇用者報酬は前年同期比2.3%増、前期比0.6%増と企業は賃上げを通じて採用を拡大している。今年は夏に参院選、10月には消費増税が控えており、景気判断は難しい局面を迎えている。
 2月の日経平均株価は米中貿易摩擦解消に向けた両国の合意に期待が高まり、約2カ月ぶりに2万1,500円超えの場面もあったが、インドとパキスタンを巡る地政学リスクへの警戒感からアジア株が軟調な動きとなり、2月の日経平均株価終値は21,385円だった。

<銅事情>

 2月のLME銅相場はドル軟化が相場を支援し、2018年12月以来の高値圏となる6,100ドル台でスタートしたが、1月の中国製造業PMⅠが3年ぶりの低水準だったことを受けて、6,000ドル台まで下落した。その後、米中貿易協議の楽観的な見方が広がり貿易摩擦の懸念が後退すると、6,200ドル台まで上昇したが、一転、南シナ海を巡る米中の駆け引きから貿易協議の進展に懐疑的な見方が広がると、6,100ドル台まで下落した。ところが、インド最高裁がベダンタ銅精錬所の操業再開を認めなかったことに加え、フリーポート・インドネシアに対し、インドネシア貿易省が銅精鉱の輸出を許可しなかったことで、足元の供給懸念が銅相場を押し上げた。更に、米国の対中関税引き上げ延期を受けて銅が買われ、8カ月ぶりに6,500ドル台まで上昇した。LME銅在庫量は1月末の14万9,000トンから少しずつ減少し、2月末には13万1,000トンとなった。
 2月の国内銅建値は据え置きの71万円/トンでスタートし、6日にプラス1万円の72万円/トン、18日にプラス1万円の73万円/トン、21日にプラス3万円の76万円/トン、26日にプラス1万円の77万円/トンとなり、2月の平均建値は73.4万円/トンだった。
 直近6か月の平均建値は、(2018年9月:71.7万円/t 10月:74.4万円/t 11月:74.4万円/t 12月:72.7万円/t 1月:69.2万円/t 2月:73.4万円/t)となり、2019年3月の国内銅建値は据え置きの77万円/トンでスタートした。


過去の銅事情