銅事情 9月号
2017年9月7日 資材委員会提供
<8月の国内事情>
内閣府が発表した2017年4-6月期の実質GDP(国内総生産)成長率は、前期比+1.0%(年率換算+4.0%)と6四半期連続でのプラス成長となった。また、8月の月例経済報告では景気は緩やかな回復基調が続いているとし、先行きについては雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待されるとしている。海外動向は、北朝鮮情勢の緊迫化による地政学リスクの高まり、閣僚辞任の連鎖やロシアゲート問題といった米国の政治的な混乱、中国の景気失速懸念など不透明な材料も多く、それぞれの問題が深刻化すれば金融市場の混乱を通じて世界経済の減速につながる危険性をはらんでいる。
8月の為替相場は、北朝鮮情勢の緊迫化による地政学リスクの高まりが意識されて円高に振れていたが、月末には111円台となり、前月末とほぼ同水準となった。20,000円台の攻防だった日経平均株価も北朝鮮情勢の影響を受け、相対的に安全な資産とされる金や債権を買う動きが広がり、一時は19,300円台まで下落したが、円安傾向に転じた月末終値は19,646円となった。
<銅事情>
8月のLME注1銅相場は、7月下旬に年初来高値を更新した後、8月に入ってからはもみ合いながらも下値を切り上げる展開が続き、8月21日には6,500ドル台へ乗せ、その後も上昇を続けて月末には6,792ドルまで上昇した。要因としては、中国の共産党大会に向けた経済対策によるインフラ関係の非鉄需要が追い風となって騰勢が強まったようだ。LME銅在庫量は、7月末29.6万トンだったが、需給の引き締まりから在庫量の減少が加速し、月末には22.8万トンと月初から7万トン近く減少した。
8月の国内銅建値は、据え置きの74万円/トンでスタートし、8日にプラス1万円の75万円/トン、14日にマイナス1万円の74万円/トン、17日にはプラス1万円の75万円/トン、23日にはプラス1万円の76万円/トン、28日にはプラス1万円の77万円/トンとなり、LME銅相場の上昇に伴い、国内銅建値も上昇し、8月の平均建値は75.0万円/トンとなった。
直近6か月の平均建値は、(2017年3月:70.3万/トン 4月:66.9万/トン 5月:67.1万/トン 6月:67.3万/トン 7月:71.3万/トン 8月:75.0万/トン)となり、9月の国内銅建値はプラス2万円の79万円/トンでスタートした。
注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)