銅事情 3月号
2016年3月11日 資材委員会提供
<2月の国内事情>
内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、2月の現状判断DIは、家計動向・企業動向・雇用動向それぞれでDI指数が下落したことから前月比2.0ポイント低下の44.6ポイントとなった。先行き判断DIも、家計動向・企業動向・雇用関連が低下したことにより、前月比1.3ポイント低下の48.2ポイントとなった。なお、季節調整値でみると、現状判断DIは前月比3.9ポイント低下の44.6ポイントとなり、先行き判断DIは前月比3.7ポイント低下の45.7ポイントとなった。以上のことから「景気は、円高、株安といった金融資本市場の不安定な動きの中、消費動向等への懸念により、このところ弱さがみられる。先行きについては、春物商戦やローン金利低下への期待等がある一方で、先行き不安や金融資本市場の動向が企業、家計のマインド等に与える影響に留意する必要がある」とまとめられた。日本電線工業会2月19日発表「2016年1月度 銅電線出荷量」によると全体では速報値で対前年同月比8.6%減の5万4,100トン(銅量)の実績で2ヶ月連続での減少と発表した。部門別には最大需要部門である建設電販部門が年明けからやや動きが鈍化した中で対前年比5.6%減の2万6,300トン、需要分野である電機部門でも対前年比9.8%減の1万1,700トンと16ヶ月連続の前年割れとした。
電線工業会発表「2015年暦年 EM電線・ケーブル出荷量」では対前年比9.1%減の3万8,907トンに留まった。牽引部門の建設電販部門の対前年実績1.3%の減となる33万9,225トンと前年割れしたことが影響した。銅電線全体におけるエコ電線のシェアーは5.5%と対前年比で0.4ポイントダウンした。
<銅事情>
2月に入ってLME注1銅相場は、1週目より原油価格下落の一服感や足元での割安感からの売り基調、更にドル安の進行も加わり、前月より3週連続での続伸、一時は4,700ドル台へ乗せる局面となった。しかし、その後サウジアラビアとロシアなど四ヵ国会談の内容から原油価格は再び下落、またFRB(米連邦準備制度理事会)イエレン議長の議会証言を受け世界景気減速懸念が強まった。これにより株価が急落、非鉄相場を圧迫することとなった。月後半の銅相場は4,600ドルを挟んでの攻防推移となった。一方、LME在庫はこの2ヶ月間での23万トン台の低位安定状況から2月中盤より、再び減少推移を示し2015年1月から1年2ヶ月ぶりの20万トンを下回る状況となった。2016年2月の国内銅相場は、前月末の58万円/トンから1日にプラス2万円の60万円/トンでのスタート、その後、4日にマイナス1万円の59万円/トンへ、更に9日にはマイナス1万円の58万円/トンとなった。その後、15日にマイナス3万円の55万円/トンへ、一転、18日にはプラス2万円の57万円/トンとした。3月からは、4日にプラス3万円の60万円/トンへ、14日にはプラス1万円の61万円/トンとし現在に至る。2016年2月平均建値は57.6万円/トンとし前月と比べ0.1万円/トンのマイナスとなった。直近6か月の平均建値(2015年: 9月:68.0万/トン 10月:67.7万/トン 11月:63.8万/トン 12月:61.0万/トン 2016年: 1月:57.5万/トン 2月:57.6万/トン)
注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)