銅事情 8月号
2020年08月07日 資材委員会提供
<7月の国内事情>
日銀が金融政策決定会合でまとめた経済・物価情勢の展望レポートにおいて、景気は今年後半から「徐々に改善していく」としながらも、新型コロナウィルスの影響が残る中で改善ペースは緩やかなものにとどまるとのシナリオから、2020年度の実質GDP成長率の見通しをマイナス4.7%と見込むと発表した。前回(4月時点)は、コロナ禍による景気動向の不透明感の強さから【マイナス5.0%~マイナス3.0%】というレンジ表記としていたが、今回から従来の形式である中央値を示す表記に戻している。
一方、消費者物価指数の見通しは、2020年度についてはマイナス0.5%とし前回(4月時点)の予測レンジ【マイナス0.7%~マイナス0.3%】とほぼ同じと見込み、2021年度は、プラス0.3%となっており、2021年度については、前回(4月時点)の予測【0.0%~プラス0.7%】からやや下方修正されている。
さらに2022年度の見通しをプラス0.7%とみており、2年先までを展望しても物価上昇率の見通しは目標値の2%程度を大幅に下回っており、その実現は一層難しい見通しとなっている。
<銅事情>
7月の銅相場は、金融緩和による投機マネーの流入により、大きく上昇した。前月並みの6,000ドル台でスタートした後、中国経済再開期待やチリ鉱山での追加減産懸念を材料に、9日には6,300ドル台に上昇。更に、チリ鉱山でストライキの可能性が高まると、13日には6,500ドル台に上昇。その後は、米中間の緊張の高まりや、チリのスト回避等で弱含むものの、ドル安が相場を下支え、7月末のLME銅相場は6,446ドル、7月平均のLME銅相場は6,354ドルとなった。7月のLME銅在庫量は、月初の21万トンから減少の一途を辿り、7月末のLME銅在庫量は12万6,000トンとなった。
7月の国内銅建値は、6月末から1万円上げの69万円/トンでスタートし、7日にプラス1万円の70万円/トン、10日にプラス2万円の72万円/トン、14日にプラス2万円の74万円/トン、17日にマイナス1万円の73万円/トン、22日にプラス2万円の75万円/トン、29日にマイナス2万円の73万円/トンとなり、7月平均の銅建値は72.1万円/トンだった。
直近6か月の平均銅建値は、2020年 2月:66.7万円/t 3月:60.6万円/t 4月:58.4万円/t 5月:60.5万円/t 6月:65.9万円/t 7月:72.1万円/t。
2020年8月の国内銅建値は、7月末から1万円下げの72万円/トンでスタート。