市況動向

銅事情 7月号

2020年07月08日 資材委員会提供

<6月の国内事情>

 日銀が発表した6月短観の大企業・製造業の業況判断指数DIは、新型コロナウィルス感染拡大の影響が本格化したこともあり、3月調査時点のマイナス8ptより26pt減のマイナス34ptとなり、その悪化幅は、リーマンショックの影響が顕在化した2008年12月調査から翌年の2009年3月調査(マイナス48pt)に次ぐ、悪化幅となる大きな落ち込みとなった。景況感は全業種で悪化しており、その中でも世界的な鋼材需要の減少に直面した鉄鋼や国内外で需要が急減した自動車での悪化が目立っている。また、業種別にみると、素材業種は22pt減のマイナス29pt、加工業種も27pt減のマイナス35ptと 全業種に亘って新型コロナウィルスの影響が及んだ。
 一方の大企業・非製造業は、3月調査時点の8ptより25pt減のマイナス17ptとなり、東日本大震災後の2011年6月以来にマイナスへ転落した。生活必需品を扱うスーパーやドラッグストアなどを含む小売では改善したものの、その他すべての業種で悪化した。新型コロナウィルスの世界的拡大により、インバウンド需要が蒸発したことに加え、緊急事態宣言が発令され自粛ムードが強まる中、国内需要も急減した結果、宿泊飲食サービス、旅行業や遊園地などを含む個人サービスや旅客輸送の急減による悪化も加わり、更にはテレワークの定着や景気悪化によるオフィス需要の減少などによる不動産でも大きく悪化した。

<銅事情>

 6月の銅相場は、景気回復への楽観的な見通しや在庫の減少などから、リスク選好で上昇した。前月並みの5,300ドル台でスタートした後、世界各地の経済活動再開や米雇用統計を好感し、5日には5,500ドル台に上昇。更に、キャンセルワラントの増加等により、10日には、5,800ドル台に上昇。その後、新型コロナウィルス第二波の懸念により一旦下がるものの、感染拡大が続く南米チリの鉱山が操業を停止すると、供給懸念から再び上昇し、6月末のLME銅相場は6,038ドル、6月平均のLME銅相場は5,742ドルとなった。
 6月のLME銅在庫量は、月初の25万tから、10日までに23万tに減少。15日までに一旦25万t弱に増加したが、その後は一貫して減少し、6月末のLME銅在庫量は21万3,000tとなった。
 6月の国内銅建値は、5月末から1万円プラスの62万円/tでスタートし、3日にプラス2万円の64万円/t、8日にプラス2万円の66万円/t、11日にプラス1万円の67万円/t、16日にマイナス1万円の66万円/t、23日にプラス1万円の67万円/t、26日にプラス1万円の68万円/tとなり、6月平均の銅建値は65.9万円/tだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2020年 1月:70.6万円/t 2月:66.7万円/t 3月:60.6万円/t 4月:58.4万円/t 5月:60.5万円/t 6月:65.9万円/t。
 2020年7月の国内銅建値は、6月末から1万円上げの69万円/tでスタート。


過去の銅事情