市況動向

銅事情 2月号

2019年2月14日 資材委員会提供

<1月の国内事情>

 日銀は経済・物価情勢の展望レポートで、実質GDPの成長率見通しを2018年度と2019年度は前年度比0.9%増、2020年度は前年度比1.0%増と潜在成長率並みの成長を続ける見込みとしている。今回の見通しは、10月時点と比較すると、2018年度は昨年の自然災害の影響などから0.5%下振れしているが、2019年度、2020年度については僅かだが上方修正となった。要因としては、海外経済が着実な成長を続けるもとで輸出の増加が見込まれること、国内需要も消費税率引き上げの影響を受けながら生産能力増強投資、都市再開発関連投資、合理化・省力化投資などの設備投資が増加を続けると予想しており、米中貿易摩擦の動向、英国のEU離脱交渉の展開などが下振れリスクとして懸念されている。
 一方、雇用環境は完全失業率が2.4%と前年から0.4%低下し、1992年以来26年ぶりの低水準となった。また、有効求人倍率は2018年平均1.61倍で1973年以来45年ぶりの高い水準となり、企業の人材確保は一段と厳しい状況となっている。
 1月4日の日経平均株価終値は2万円を割ってのスタートとなったが、良好な米雇用統計や米株高を受けて景気懸念が後退し、2万円台を回復した。更に、円安・ドル高を支援材料に一時は2万900円近くまで上昇したが、利益確定売りも入り、2万1000円の壁は高かった。

<銅事情>

 1月初めのLME銅相場は5,800ドル台前半で推移していたが、中国人民銀行の預金準備率引き下げ、米中貿易協議の再開、米投資銀行大手の銅価格上昇を予測するレポートなどが相場の追い風となり、6,000ドルを伺うところまで上昇した。ところが、米中貿易摩擦の影響から12月の中国貿易統計が振るわず、2年2か月ぶりに輸出入ともに前年同月比で減少したことから、中国景気の減速懸念が高まり、非鉄は売られる展開となった。一方、中国当局の32兆円規模の減税方針が発表されると、ドル安も相場の支援材料となり、更に米中貿易協議が進展しているとの観測から非鉄は全面高となり、銅相場は6,000ドルを回復した。その後、昨年の中国GDPが28年ぶりの低い伸び率だったことで、再び中国経済の成長鈍化が懸念され、銅相場は5,800ドル台まで下落したが、月末には米金利据え置きを受け、ショートカバー(買戻し)が相場を押し上げ、6,000ドルを回復した。
 LME銅在庫量は暫く13万トン台で推移し、ほとんど在庫量に変化はなかったが、月末には14万9,000トンまで増加した。
 1月の国内銅建値はマイナス1万円の69万円/トンでスタートし、11日にマイナス1万円の68万円/トン、17日にプラス1万円の69万円/トン、28日にプラス2万円の71万円/トンとなり、1月の平均建値は69.2万円/トンだった。
 直近6か月の平均建値は、(2018年 8月:71.6万円/t 9月:71.7万円/t 10月:74.4万円/t 11月:74.4万円/t 12月:72.7万円/t 1月:69.2万円/t)となり、2019年2月の国内銅建値は据え置きの71万円/トンでスタートした。


過去の銅事情