市況動向

銅事情 3月号

2017年3月7日 資材委員会提供

<2月の国内事情>

 日本電線工業会は2016年1月の銅電線出荷量速報値をまとめ、対前年同月比0.8%減の5万3,700トン(銅量)で2ヶ月続けてマイナスだったと発表した。部門別には、総量の40%強を占める建設電販部門が同4.2%減の2万5,200トン、需要部門である電機部門も同0.3%減の1万1,700トンと全体を押し下げることとなった。そのほか、電力部門が同6.5%減、通信部門が24.2%減となった。一方、自動車部門は0.5%増と9ヶ月連続で増加を推移している。
  非鉄関連トピックスでは、経済産業省が既存の鉄鋼ガイドラインをベースに非鉄金属もカバーする「金属産業取引適正化ガイドライン」を取りまとめた。経済産業省は国土交通省に対し、適正な取引に向けた改善要請を行うとともに、本年度中に経済産業省と国土交通省の連名で、適正な取引に関する要請文を関係団体に発信する予定となっている。


<銅事情>

 2月に入ってLME注1銅相場は、前月の5,500ドルから5,900ドルでのもみ合いの中、トランプ大統領によるインフラ投資政策や中国政府による景気支援策への期待感から、月序盤より5,900ドルを突破し2カ月ぶりの高値水準となった。また、トランプ政権による保護主義傾斜政策が金融市場では警戒感を強め、さらには、フランス極右政党のルペン党首がEU離脱を問う国民投票を実施するとの発言もあり、政治的リスクからドルが売られやすい環境となった。その結果、ドル建ての非鉄が売られることになり、銅相場を底上げした。
 需給面では、チリの最大銅鉱山エスコンディダ鉱山でのストライキや、世界第2位のインドネシア・グラスベルグ鉱山の生産縮小から供給懸念が広がり相場を押し上げることとなり、1年8ヶ月ぶりの6,000ドル水準を回復した。後半からはFRBイエレン議長による追加利上げ示唆や、トランプ政権が規制緩和や財政出動で経済成長や物価上昇のペースが加速されるとの観測により、ドルの先高観から円売ドル買い基調となり相場の頭を抑えることとなった。
 LME在庫は、前月末には26万トンまで大きく在庫量を下落させたが、2月に入っても下落状況にブレーキはかからず、月末のLME在庫は月初に比べ5万5,000トン減少の20万7,000トンとなった。
 2017年2月の国内銅相場は、前月末の72万円/トンからスタート、6日にマイナス3万円の69万円/トンとし、その後9日にはプラス1万円の70万円/トンへ、更に14日にはプラス4万円の74万円/トンへ、一転17日にはマイナス2万円の72万円/トンへ、24日にはマイナス2万円の70万円/トンとした。以降は3月に入り1日には2万円プラスの72万円/トン、7日にはマイナス1万円の71万円/トンとし現在に至る。
 2017年2月平均建値は71.2万円/トンとし前月と比べ1.3万円/トンのプラスとなった。
 直近6か月の平均建値(2016年: 9月:52.5万/トン 10月:53.3万/トン 11月:62.9万/トン 12月:70.5万/トン 2017年:1月:69.9万/トン 2月:71.2万/トン)

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

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