銅事情 2月号
2017年02月20日 資材委員会提供
<1月の国内事情>
内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、1月の現状判断DIは、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連のすべてのDIが低下したことにより、前月比2.6ポイント低下の48.6ポイントとなった。また先行き判断DIもすべての項目で低下したことにより、前月比0.7ポイント上昇の49.7ポイントとなった。なお、季節調整値でみると、現状判断DIは、前月比1.6ポイント低下の49.8ポイントとなり、先行き判断DIは、前月比1.5ポイント低下の49.4ポイントとなった。今回の調査結果に示された景気ウォッチャーの見方は、「持ち直しが続いているものの、一服感がみられる。先行きについては、引き続き受注や求人増加等への期待があるものの、海外情勢への懸念の高まりがみられる」とまとめられる。また日本電線工業会は2016暦年銅電線出荷量を速報値で対前年比3.6%減の68万1,530トン(銅量)と発表した。部門別には最大出荷部門である建設・電販部門が対前年比4.5%減の32万3,884トン、電気機械部門では対前年比2.1%減の14万8,981トンといずれも盛り上がりに欠く推移となった。一方、自動車部門では対前年比4.4%増の7万3,530トンと復調、12単月でも対前月比8.4%増と今年に入り8ケ月連続で前月を上回る推移を示した。<銅事情>
1月のLME注1銅相場は、米大統領選挙でのトランプ氏勝利の結果を受けてドル高の急進になり5,400〜5,500ドル台での軟調基調となった。また、中国の各経済指標の上昇や中国株、原油相場の上昇に伴い、銅相場は12月上旬以来5週間ぶりの5,800ドル台を回復し、更に上値を臨む局面を迎えた。為替相場はトランプ次期大統領の発言に対する警戒感から、ドルが売られ円高ドル安を背景に銅相場への追風は続いた。しかし、20日のトランプ大統領就任演説において、保護主義的な政策が強かったことが景気を押し下げるのではないかとの警戒感や、英国メイ首相によるEU単一市場から撤退表明が投資家のリスク選好心理を押し下げ、6,000ドル突破には至らなかった。その後、トランプ政策は「メキシコとの国境の壁建設」や「不法難民への規制強化」等の政策が不透明さを生む一方で、「石油パイプライン建設」といった政府財政出動等の追風で相場は5,800ドルを保持する堅調さで推移、米株価も2万ドルの大台を突破した。
LME在庫は、前月の32万トンから34万トンレンジでの復調基調から一転、1月から減少の一途を辿り月末には26万トン前半と1カ月で6万トンもの減少となり、銅相場の頭を抑えることとなった。
2017年1月の国内銅相場は、前月末の69万円/トンから4日にマイナス1万円の68万円/トンとしてのスタート、その後10日にはプラス1万円の69万円/トンへ、13日にはプラス2万円の71万円/トンへ18日には再びマイナス2万円の69万円/トンへ、25日にはプラス3万円の72万円/トンとした。
2月に入り、6日には3万円マイナスの69万円/トン、9日にはプラス1万円の70万円/トン、14日にはプラス4万円の74万円/トン、17日にはマイナス2万円の72万円/トンとし現在に至る。
2017年1月平均建値は69.9万円/トンとし前月と比べ0.6万円/トンのマイナスとなった。
直近6か月の平均建値(2016年:8月:52.6万/トン 9月:52.5万/トン 10月:53.3万/トン 11月:62.9万/トン 12月:70.5万/トン 2017年:1月:69.9万/トン)
注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)