市況動向

銅事情 4月号

2015年4月15日 資材委員会提供

<3月の国内事情>

 内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」によると、3月の現状判断DIは、家計動向関連・企業動向関連・雇用関連それぞれで上昇したことから前月比2.1ポイント上昇の52.2ポイントとなった。また、先行き判断DIも、物価上昇への懸念等がみられるものの、賃上げへの期待や外国人観光需要への期待等がみられることから前月比3.2ポイント上昇の53.2ポイントとなった。以上のことから、「景気は、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、物価上昇への懸念等がみられるものの、賃上げへの期待や外国人観光需要への期待等がみられる」とまとめられた。また日本電線工業会発表「2015年度の銅電線需要見通し」によると、2015年度の銅電線出荷予測は前年度比0.4%増の72万5,000トンとまとめられた。また2014年度の実績見込みは72万2,000トンで前年度比0.6%増、5年連続で前年度比を上回ることとなった。主力出荷部門である建設電販部門は2014年度見込みで対前年度比0.1%増、2015年度予測で0.4%増を見込む。
 3月の為替相場は、米の強い雇用統計からドルは主要通貨に対し全面高となり、月を通じて120円台のドル高円安推移を示した。

 

<銅事情>

 3月のLME注1銅相場は、前月後半のLME銅の急反発で上値抵抗線であった5,700ドルを突き抜けての堅調な状況の中、今月に入っても中国の経済停滞懸念と経済成長率目標の引き下げ、それに伴う追加景気対策への期待感や米の強い雇用統計を受けてのFRB(米連邦準備制度)の利上げ観測等から5,700ドルを下値抵抗線としながら5,800ドル台での堅調な推移を示した。しかし中盤にはLME在庫が1年1ケ月ぶりの30万トン台へ積み上がったこと、好調な米経済指標から強いドル高基調が進み相場は6,000ドル付近で頭を抑えられる状況となった。その後月終盤には、FRBイエレン議長による景気判断下方修正の要因はドル高によるものとの示唆を受けドル相場の急落、またサウジアラビアや湾岸諸国によるイエメン空爆による原油の上昇と地政学的リスクの高まりによる安全資産としての銅が買い戻されたことにより、心理的節目であった6,000ドルを突き抜けることとなった。LME在庫は、前月末までの増加傾向で進んでいた29万6,000トンは更に積み上り34万トンを超えこれも相場の頭を押さえる大きな要因となった。
 2015年3月の国内銅相場は、前月末の74万円/トンから2日にプラス2万円の76万円/トンでスタート、5日にマイナス1万円の75万円/トンへ、再び10日にはプラス1万円の76万円/トンとし、19日にはマイナス2万円の74万円/トンとした。4月からは、1日にプラス3万円の77万円/トン、6日にはマイナス1万円76万円/トン、再び9日にはプラス1万円の77万円/トン、15日にはマイナス1万円の76万円/トンとしている。
 2015年3月平均建値は76.3万円/トンで前月と比べ3万9千円/トンのプラスとなった。直近6か月の平均建値(2014年: 10月:77.2万/トン 11月:82.8万/トン 12月:81.6万/トン 2015年: 1月:74.6万/トン 2月:72.4万/トン 3月:76.3万/トン)

  注1 LME:(ロンドン金属取引所 130年以上の歴史を持つ世界第一の非鉄金属市場)

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