市況動向

銅事情 12月号

2023年12月08日 資材委員会提供

<11月の国内事情>

 内閣府が11月15日に発表した2023年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比マイナス0.5%となった。これを年率換算するとマイナス2.1%で、マイナス成長は3四半期ぶりとなった。主なマイナス要因はGDPの過半を占める個人消費が振るわなかったことにある。賃金の伸びが物価上昇に追いついていないことが消費を圧迫し、内需が力強さを欠いた。経済正常化の進展で外食はプラスに寄与したものの、食料品の消費が減り、生産が一時停止した自動車の販売も減少したため、前期比でマイナス0.04%となり、わずかなマイナスではあるが、2四半期連続のマイナスだった。もう一方の内需の柱である企業の設備投資も、半導体製造装置などへの支出が減ったことなどを要因に、前期比マイナス0.6%で2四半期連続のマイナスとなった。民間住宅投資はマイナス0.1%で5四半期ぶりのマイナスに転じ、公共投資もマイナス0.5%で6四半期ぶりのマイナスとなった。輸出から輸入を差し引いた外需はGDPを押し下げた。自動車の輸出は増えたが、テレビやアプリの著作権の支払いなど輸入もふえたことが要因となっている。輸出に含まれるインバウンド消費の伸びが一服し、マイナスに転じたことも影響した。GDP全体に占める内需寄与度はマイナス0.4%、外需寄与度はマイナス0.1%で、共に2四半期ぶりのマイナス。内外需ともに弱いが、内需の弱さが深刻で、インフレの進行による実質賃金の低迷を要因とする個人消費が特に弱いと指摘する声もある。厚生労働省が公表した9月の毎月勤労統計によると、実質賃金は前年比2.4%の低下で、これは18ヶ月連続の減少だった。
 15日に発表した2023年7~9月期のGDPがマイナスとなったことを受け、新藤経済再生担当大臣は、「個人消費や設備投資といった内需が力強さを欠いていた。今後は中国経済の先行き懸念など海外景気の下振れが経済を下押しするリスクなどにも注意が必要だ」とコメントを発表した。

<銅事情>

 11月の銅価格は、終値で8,000ドルを割る事無く推移し、前月末対比294ドルの上昇となった。前月末同様の8,000ドル強でスタートし、中旬までは落ち着いた値動きだったが、中国の鉱工業生産が好結果となり、米国のインフレも落ち着きの兆候を見せると、15日には8,100ドル台となった。その後、ペルーのラス・バンバス銅鉱山でストライキが実施されると、20日には8,200ドル台、更に中国でEVやソーラーパネル、電力業界の需要が予想を上回ると、21日には8,300ドル台に上昇した。
 11月末のLME銅価格は8,332ドル、11月平均のLME銅価格は8,174ドルとなった。11月のLME銅在庫量は、前月末対比で0.1%の減少で、ほぼ変わらずであった。10月末17万トン台から、中旬までは数千トン規模で増加する日があり、14日までに1万トン近く増加した。しかし、15日以降は18万トンを割り込み、前月末の水準まで減少した。11月末のLME銅在庫量は、174,250トンとなった。
 11月の国内銅建値は、10月末からプラス2万円の127万円/トンでスタートし、7日にプラス1万円の128万円/トン、10日にマイナス1万円の127万円/トン、16日にプラス2万円の129万円/トン、27日にプラス1万円の130万円/トンとなり、11月平均の銅建値は、128.3万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2023年 6月:124.0万円/t 7月:124.7万円/t 8月:126.6万円/t 9月:127.8万円/t 10月:124.2万円/t 11月:128.3万円/t。
 2023年12月の国内銅建値は、11月末同様130万円/トンでスタート。



過去の銅事情