市況動向

銅事情 4月号

2024年04月08日 資材委員会提供

<3月の国内事情>

 日銀が4月1日に発表した2024年3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス11となり、前回12月調査から2ポイント悪化し4期ぶりの下落となった。ダイハツ工業が認証不正で自動車の生産を停止したことを受け、自動車関連の大企業で15ポイント悪化のプラス13となったことと、鉄鋼や非鉄金属もそのあおりを受けて悪化している。一方、前回調査で4年9カ月ぶりにプラス圏内に浮上した中小企業・製造業は、今回は3ポイント下落。マイナス1ポイントとなり、再びマイナス圏に落ち込んだ。前回調査で大きくプラス方向に改善した中堅企業・製造業は、前回と横ばいのプラス6だった。最終の調査の回答率は99%であったが、回収基準日の3月13日時点での回収率が7割弱ほどであったことから、3月18~19日の金融政策決定会合で決めたマイナス金利政策解除の影響はほとんど織り込まれていないと見られている。大企業・非製造業は、引き続きインバウンド需要が寄与して、前回調査から2ポイント改善し、34ポイント。8期連続の改善で、1991年8月以来の高い水準となった。人件費のサービス価格への転嫁も進んでいる。先行きでは、大企業は製造業、非製造業を問わず悪化予想で、製造業が1ポイント悪化、非製造業が7ポイント悪化となっている。
 企業の事業計画の前提となる2024年度の想定為替レートは全規模・全産業で1ドル=141円42銭だった。円安の進行を受けて、2023年度で139円38銭としていた前回調査から円安方向に修正された。足元の相場は1ドル=151円代で推移していることから、企業は円高水準で収益計画をたてているとみられる。
 23年度の全規模・全産業の設備投資計画は、前年比+10.7%で前回から1.0%の下落。大企業・製造業では+14.5%、大企業・非製造業では+9.8%と、前回調査から下方修正はされたものの、3年連続で前年比プラスでの着地見込みとなった。新たに発表された2024年度は全規模・全産業で+3.3%だった。
 企業の仕入価格判断DIや販売価格判断DIを見てみると、仕入価格判断DIでは大企業・製造業がプラス42で前回から1ポイント上昇、大企業・非製造業がプラス43で前回から3ポイント上昇でいずれも上昇した。販売価格判断DIは大企業・製造業がプラス25ポイントで前回から2ポイント下落、大企業・非製造業ではプラス27ポイントで前回から2ポイント上昇という結果だった。
 雇用人員判断DIは大企業・製造業がマイナス17で前回から1ポイント下落、大企業・非製造業はマイナス37で横ばい。全規模・全産業はマイナス36で前回から1ポイントの下落であり、雇用の不足感はより強まっているという結果で、全規模では製造業、非製造業ともに値を下げている。(12月調査の値は、2024年3月の調査対象企業見直し後のもの)

<銅事情>

 3月の銅価格は、2月末同様8,400ドル弱となった後、18日までは上昇基調で、一時9,000ドルを超えたが、以降は弱含み、月末は8,700ドル台となった。中国税関総署が7日に発表した1─2月輸出入額が予想を上回り、8,500ドル台となった後、中国の製錬業者が加工費の急落に対応するため、生産縮小の可能性を含め、対策を検討する方針を示したことから供給不足の懸念が広がり、18日までに9,000弱まで上昇した。しかしその後は、中国の製錬会社間で生産量減少の措置が合意されたにもかかわらず、今年3%以上の伸びを示すとの調査が、中国国営の調査会社より発表されたことを受け、需給の緩みが意識され下落基調となり、3月末のLME銅価格は8,729ドル、3月平均のLME銅価格は8,676ドルとなった。
 3月のLME銅在庫量は、前月末対比で7.8%の減少となった。初日、前月末対比4,600トン減の11万6千トン台となった後、18日まで右肩下がりで1万トン減少し、10万6千トン台となった。19日から22日にかけて1万トン強増加し、水準を戻したものの、最終週に6,000トン減少し、3月末のLME銅在庫量は、111,925トンとなった。
 3月の国内銅建値は、2月末からマイナス1万円の131万円/トンでスタートし、11日にマイナス1万円の130万円/トン、14日にプラス5万円の135万円/トン、19日にプラス4万円の139万円/トン、26日にマイナス2万円の137万円/トンとなり、3月平均の銅建値は、134.2万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2023年 10月:124.2万円/t 11月:128.3万円/t 12月:126.7万円/t 2024年 1月:126.5万円/t 2月:129.4万円/t 3月:134.2万円/t。
 2024年4月の国内銅建値は、3月末からプラス1万円の138万円/トンでスタート。



過去の銅事情