市況動向

銅事情 6月号

2023年06月08日 資材委員会提供

<5月の国内事情>

 内閣府が5月17日に発表した2023年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.4%増、年率換算で1.6%増だった。プラス成長は3四半期ぶり。コロナ渦から経済が正常化し、個人消費が全体を押し上げた。2022年度の実質GDPは1.2%増で2年連続のプラス。
 内需の柱でGDPの過半を占める個人消費は外食や宿泊、交通などが幅広く伸びたことにより、前期比で0.6%増え4半期連続でプラス。半導体の供給制約の緩和で、自動車などの耐久財が伸び幅を拡大、非耐久財は物価高の影響で食品がマイナスしたものの、電気の使用量が伸び、全体的にはプラスへ。もう一方の内需の柱の設備投資は0.9%増と2四半期ぶりのプラス。企業の社用車、トラックなど自動車への投資が伸びた。住宅投資も0.2%増で2四半期ぶりのプラス。公共投資は12月に成立した22年度第2次補正予算の執行などが影響し、2.4%増で4四半期連続のプラスとなり、伸び幅も前期から拡大。輸出は4.2%の減で6四半期ぶりにマイナスへ転じた。訪日客の消費は伸びたが、半導体市況の世界的な軟化で半導体製造装置の輸出が減ったことと、自動車、建設機械も減った。輸入は中国の経済活動の停滞などで2.3%減り、外需はマイナス。内需は拡大しているため、全体ではプラス成長。
 GDPデフレーターは前年同期比で2.0%上昇し、2四半期連続のプラスとなった。これは輸入物価の上昇が一服したのに加え、食品や生活用品など国内での価格転嫁の広がりを示している。
 雇用者報酬は名目で前年同期比1.2%増えたが、実質では2.3%減で6四半期連続のマイナス。物価上昇に賃金が追いついていない状況が継続している。

<銅事情>

 5月の銅価格は、終値で一時8,000ドルを割り込み、前月末から500ドル超の下落となった。10日までは8,500ドルを挟んだ値動きだったが、中国の需要低迷、LME指定倉庫の在庫積み上がり、米国のリセッション懸念等で下落基調となり、24日終値は7,900ドル付近まで下落した。その後、米国の債務上限交渉が合意に至るとの見方が強まるなど、リスク選好からかろうじて8,000ドルを回復した。5月末のLME銅価格は8,017ドル、5月平均のLME銅価格は8,234ドルとなった。
 5月のLME銅在庫量は、前日対比で減少した日は1日しか無く、前月末対比50.0%の増加となった。第1週で5,300トン、第2週で5,200トン増加すると、第3週で15,300トンと大きく増加、第4週も7,400トン増加し、5月末のLME銅在庫量は、99,525トンとなった。
 5月の国内銅建値は、4月末からマイナス1万円の121万円/トンでスタートし、11日にマイナス3万円の118万円/トン、16日にマイナス1万円の117万円/トン、19日にプラス1万円の118万円/トン、24日にマイナス2万円の116万円/トン、29日にプラス3万円の119万円/トンとなり、5月平均の銅建値は、118.2万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2022年 12月:118.5万円/t 2023年 1月:122.9万円/t 2月:124.6万円/t 3月:123.9万円/t 4月:123.5万円/t 5月:118.2万円/t。
 2023年6月の国内銅建値は、5月末から1万円下げの118万円/トンでスタート。



過去の銅事情