市況動向

銅事情 5月号

2023年05月10日 資材委員会提供

<4月の国内事情>

 日銀は、植田和男総裁が4月9日に就任。新体制の下で初の金融政策決定会合を開いた。大規模緩和の継続を決める一方で、金利の先行き指針を改めた。日銀は前回3月の会合まではコロナ対応を念頭に長期金利の先行きの指針として「現在の水準またはそれを下回る水準」を想定する姿勢を示してきたが、今回会合にてコロナ対応に関する文言とこの部分を削除。
 過去からの金融緩和の検証も始める。検証には1年~1年半の期間をかけて多角的に進め、それぞれの政策の効果と程度、そうなった理由を分析していく。ただ、「目先の政策変更に結び付けて何かやるというわけではない」とも説明。
 同時に公表した「経済・物価情勢の展望」では、22年度の物価上昇率は前年比3.0%(前回3.0%)で、23年度の見通しは1.8%(前回1.6%)に、24年度は2.0%(前回1.8%)に上方修正。しかしながら今回初めて公表する25年度は目標とする2%を下回る1.6%に低下する見込みとなっている。足もとの物価上昇率は3%を超え、当面の見通しも2%前後で推移する。上振れの可能性もあり、今後の動きを予断なく見極めていく必要がある。実質GDPは22年度が1.2%(前回1.9%)、23年度が1.4%(前回1.7%)、24年度が1.2%(前回1.1%)。初めて公表する25年度は1.0%とした。リスク要因を見てみると、海外経済・物価動向、ウクライナ情勢、資源価格の動向など、日本経済をめぐる不確実性は極めて高く、そのもとで金融・為替市場の動向や日本経済・物価への影響を注視する必要がある。

<銅事情>

 4月の銅価格は、中国の需要動向や在庫を眺めながら、後半弱含みで推移した。初日、前月並みの9,000ドル弱となった後、景気後退懸念によるリスク回避の動きで、8,700ドル台に下落したが、中国の貿易データ、FRBの利上げ停止期待、ドル安などで、中旬には9,000ドルを回復した。しかし後半は、中国の弱い需要に加え、LME指定倉庫の在庫増加が重荷となり尻すぼみとなった。4月末のLME銅価格は8,571ドル、4月平均のLME銅価格は8,814ドルとなった。
 4月のLME銅在庫量は、前月末対比3.9%の増加。初日は、前月末から2千トン強増加し、6万6千トン台だったが、中旬に大きく減少し、18日には5万1千トン台となった。しかし、最終週で1万2千トン強増加し、中旬の減少をほぼ取り戻すと、4月末のLME銅在庫量は、前月末微増の66,350トンとなった。
 4月の国内銅建値は、3月末からプラス2万円の125万円/トンでスタートし、5日にマイナス5万円の120万円/トン、11日にプラス4万円の124万円/トン、14日にプラス2万円の126万円/トン、21日にマイナス2万円の124万円/トン、25日にマイナス2万円の122万円/トンとなり、4月平均の銅建値は、123.5万円/トンだった。
 直近6か月の平均銅建値は、2022年 11月:120.2万円/t 12月:118.5万円/t 2023年 1月:122.9万円/t 2月:124.6万円/t 3月:123.9万円/t 4月:123.5万円/t。
 2023年5月の国内銅建値は、4月末から1万円上げの121万円/トンでスタート。



過去の銅事情